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ActiveCluster 連載、前回(第 1 回)の内容では ActiveCluster の基礎とコンポーネントについてご紹介しました。

第 2 回の今回は、ActiveCluster の構築手順をご紹介します。具体的な ActiveCluster 構築手順の前に、まずは物理ネットワークの要件について見てみましょう。

管理ネットワークの要件

FlashArray は、上下に 2 つのコントローラ(ct0、ct1)を搭載し、1 コントローラあたり 2 つの管理ポート(eth0、eth1)、合計するとアレイあたり 4 つの管理ポートを搭載しています。通常の FlashArray 構成では、コントローラあたり 1 つの管理ポート(eth0)のみを使用するケースが多いでのすが、ActiveCluster では 4 つ全ての管理ポートを使用することを推奨しています。ActiveCluster では Mediator という新しいコンポーネントが登場し、管理ポートを介してアレイと Mediator が通信します。この通信の可用性を最大化するため、全ての管理ポートを使用することを推奨しています。

以下の図は、管理ネットワークの構成例を示しています。

図1 – 管理ネットワークの構成例

レプリケーション用ネットワーク(インターコネクト)の要件

次に、レプリケーション用のネットワークの構築についてご説明します。FlashArray は 1 コントローラあたり 2 つの 10 GbE ポート(レプリケーション用ポート、eth2、eth3)、合計するとアレイあたり 4 つの 10 GbE ポートを標準搭載しています。以前から実装されている機能であり、多くのお客様における使用実績のある非同期レプリケーション構成では、全てのレプリケーション用ポートを使用することを推奨しています。この点については、同期レプリケーション(ActiveCluster)構成でも同様です。非同期レプリケーション構成と同期レプリケーション(ActiveCluster)構成には、以下のような違いがあります。

  • 非同期レプリケーション
    • アレイあたり1つのレプリケーション IP が必要
    • 4 つのレプリケーション用ポートはボンディング(bonding)
    • プライマリコントローラの一方のポートがアクティブ、もう一方のポートはパッシブ
  • 同期レプリケーション(ActiveCluster)
    • ア レイあたり 4 つのレプリケーション IP が必要
    • 4 つのレプリケーション用ポート全てに物理 IP を付与
    • プライマリコントローラの両ポートがアクティブ

非同期レプリケーションは、バックグラウンドで差分データのみ(レプリケーション用ネットワーク上でも重複排除、圧縮、暗号化の全てが有効)をターゲットのアレイへ転送します。そのため、ほとんどのケースで 10 GbE ポート 1 つ分の帯域幅があれば十分です。これにより、全てのポートをボンディングして 1 つの IP アドレスを付与し、シンプルな構成を実現しています。一方、ActiveCluster はホストからの書き込み要求をリアルタイムで両アレイの書き込みキャッシュ(NVRAM)に書き込んだ後、ホストに書き込み完了の ACK を返す必要があります。大きな I/O サイズでの大量書き込みや、バッチ処理による書き込みにも遅延なく ACK を返せるように、プライマリコントローラの両ポートをアクティブにしています。また、ポート障害時のフェイルオーバー速度も優先し、ボンディングではなく全ポートに物理 IP を付与します。

以下の図は、インターコネクトの構成図を示しています。

図2 – レプリケーション ネットワーク(インターコネクト)の構成例

これで ActiveCluster を構築するための物理ネットワーク構築は完了です。次回のブログでは、いよいよ ActiveCluster の構築手順をご紹介したいと思います。

参考情報

第1回:ActiveCluster の基礎とコンポーネント