はじめに

ピュア・ストレージ・ジャパンは、お客様のデジタル変革を支援する取り組みの一環として、技術セミナー「The Orange Ring – Tech」を開催しています。2019 年 11 月 8 日に開催した第 9 回『はじめてのピュア・ストレージ』では、ピュア・ストレージの歴史と技術や製品について、わたくし生駒が解説しました。本稿では、現代企業はどのようなストレージを選ぶべきか、なぜ今ピュア・ストレージが注目されているのかにふれながら、セミナーの内容を抜粋してご紹介します。

HDD の限界から誕生したピュア・ストレージ

ストレージの歴史は、1950 年代には始まっていたとされています。世界最初の商用ハードディスク・ドライブ(HDD)は、1956 年に IBM が出荷しました。現在のような小型ではなく大がかりなもので、5 MB で 5 万ドル(当時 1 ドル= 360 円)という非常に高価な製品でした。現代の HDD の形やサイズになったのは 1980 年代で、多数の HDD を並べたエンタープライズ HDD ストレージや NAS が登場するのは、1990 年代以降のことです。

ストレージの歴史

2000 年代、ビジネスのスピードが増してストレージ I/O に対する要求が高まっていくとともに、新しいメディアとしてフラッシュ・ストレージが登場しました。仮想化技術の登場によりシステム統合がさらに進み、I/O が激増したことによって HDD の性能が課題視されるようになりました。

なぜ、HDD は現代に求められる性能を発揮できないのでしょうか。HDD は、内蔵された磁気ディスクを回転させながらデータを書き込んでいます。ディスクの回転が速いほど高速に読み書きができるという仕組みですが、技術的にもコスト的にも限界に近い状況です。また可動部分やパーツが多い構造のために故障率が高く、大容量のデータを保管する役割としてはリスクが高いのも問題です。

2009 年、「ディスクは限界に達していて、次のメディアに移行する必要がある」と考えた John Colgrove(ジョン・コルグローブ)が、オールフラッシュ・ストレージ専門のピュア・ストレージを創業しました。現在、コルグローブは CTO を務めています。

John "Coz" Colgrove

コルグローブは、ハードウェアではなくソフトウェアの視点から、既存のストレージの課題を解決しようと試みました。2009 年から 3 年にわたって一から基礎研究を行い、モジュール拡張方式の採用、重複排除・圧縮機能の搭載、デュアルパリティ RAID の開発など、フラッシュメモリ向けのアーキテクチャを開発しました。2012 年、これらの技術を搭載した初めてのオールフラッシュ・ストレージとして FlashArray FA-300/320 が登場しました。そして、まったく新しいストレージ・ビジネスモデルである Evergreen Storage プログラムが登場したのは、2014 年のことです。

それから現在に至るまで、毎年、ピュア・ストレージは新しい製品を生み出しています。2019 年にスウェーデンの Compuverde 社を買収したことにより、今後は、従来のブロック・ストレージに加えてファイル・ストレージにも注力していく計画です。

ピュア・ストレージの歴史

すえ永くビジネスを支える FlashArray、FlashBlade

ピュア・ストレージの製品は、構造化データに強いブロック・ストレージの FlashArray シリーズと、非構造化・半構造化データに強い FlashBlade シリーズの 2 種類に大別できます。

FlashArray をベースに、シスコシステムズ社のサーバー/ネットワーク製品を活用したコンバージド・インフラストラクチャ FlashStack や、FlashBlade に NVIDIA 社 の GPU 技術を組み合わせた AI 基盤インフラストラクチャ AIRI も提供しています。

また、FlashArray  の機能をパブリック・クラウドで活用できる Cloud Block Store や、パブリック・クラウドをバックアップ先に用いる CloudSnap も登場し、ピュア・ストレージの技術はオンプレミスに止まらず、クラウド環境まで拡大しつつあります。

製品ポートフォリオ

FlashArray

ピュア・ストレージの中核製品である FlashArray シリーズは、業界初のティア 1 向けオールフラッシュ SAN ストレージです。大きく 4 つの特長を持っています。

  1. 小型で大容量
    512 バイト単位の重複排除と圧縮によって、極めて高いデータ削減率を発揮します。小型デバイスで大容量のデータを格納でき、3U で 1 PB を超える実効容量を実現しています。設置面積や消費電力を抑制することができるのもメリットです。
  2. クラウド管理ツール Pure1 を無償で提供
    ユーザーだけでなく、パートナーやピュア・ストレージのエンジニアがリアルタイムにアレイの状態を確認し、迅速なサポートを提供します。
  3. 搭載されている全ての機能をライセンス・フリーで利用可能
    スナップショット、同期・非同期レプリケーション、コントローラ上で動作するコンテナ、仮想マシン、同時 2 本障害対応できる RAID-3D、NVMe、QoS といった機能があります。
  4. 専任エンジニアは不要
    シンプルなアーキテクチャを採用しており、設置作業が非常に簡単にできるため、ストレージ設計やチューニングが不要です。

FlashBlade

FlashBlade は、ファイル・ストレージやオブジェクト・ストレージの基盤として利用できるプラットフォームです。一般的な NAS と大きく異なるのが、CPU と NAND チップを積んだ複数のブレードで構成されている点です。

FlashBlade 概要

AIRI

FlashBlade は、非常に多様なワークロードに適しており、「次世代のスマート・データハブ・プラットフォーム」と言える製品です。最近注目されているのが AI 基盤としての活用で、この特長をいかしているのが AIRI です。すでに、グローバルで多くの企業が AIRI をビジネスに活用されています。

AIRI - 業界初の AI 完全対応インフラストラクチャ

Evergreen Storage プログラム

ピュア・ストレージ製品の最大の特長は、Evergreen Storage プログラムを採用している点にあります。標準の保守費用さえお支払いいただければ、製品は永久的に保証されます。コントローラは 3 年ごとに無償でリフレッシュされて最新状態を保ち、置き換えやデータ移行の作業は不要です。全てのコンポーネントがアクティブ-スタンバイで冗長化されているため、容量の拡張やコントローラの交換の際にサービスを中断する必要はなく、性能劣化も現れません。

なぜ Evergreenを実現できるのか

ストレージ・サービスの停止を経験している方、リプレース作業に辟易している方、性能とコストのバランスに悩んでいる方にとって、ピュア・ストレージは最適です。VDI でもデータベースでも仮想化基盤でも、さまざまなワークロードで高いパフォーマンスやデータ削減率、可用性を発揮します。

Pure1

Pure1 の基盤である Global Insight では、世界中で稼働している数千台の FlashArray からリアルタイムにデータを集めて、ビッグデータ解析を行っています。この解析結果を用いて、既知の問題から将来的な問題や脆弱性を予測したり、構成変更や接続環境の変化を検出したり、パフォーマンスや容量の問題を検出したりしています。こうした予兆・予測情報を基に、積極的なサポートを提供しているのです。

ユーザーは、HTTPS 通信が可能であれば Pure1 を利用でき、管理者はスマートフォン・アプリ Pure1 Manage のみでも管理が可能です。また前述のように、ピュア・ストレージやパートナーのエンジニアは Pure1 を通じてユーザー環境を監視・確認し、迅速かつ的確なトラブル対応を実現しています。

Pure1 Cloud - システム概要

国内では VMware 環境を利用しているユーザーが多く、Pure1 から仮想化環境をフルスタックで監視できる VM Analytics に高い評価をいただいています。仮想マシンやホスト、ボリューム、アレイなど、それぞれどのような構成になっているか、どこにトラブルが発生しているのかといった情報が一目瞭然となります。もちろん、この機能も無償です。

さらなる進化を続けるピュア・ストレージ

ピュア・ストレージは、エンタープライズ・ストレージの次の 10 年を見据えて「モダン・データ・エクスペリエンス」という新しい構想を発表しました。今日のエンタープライズ・ストレージの課題は非常にさまざまで、サイロ化したシステムにより連携が複雑化し、運用コストも高額になりがちです。クラウドへの移行を検討したくてもデータ移行が大きなハードルとなり、パフォーマンスの問題も解決する必要があります。オンプレミス・システムを 3 ~ 5 年で更改していくことに、大きな負担を感じている組織も多いのではないでしょうか。

ピュア・ストレージのモダン・データ・エクスペリエンスは、「シンプル(簡素)」「シームレス(透過)」「サステナブル(持続)」という 3 つの原則をもって、これらの課題を解決しようというものです。

モダン・データ・エクスペリエンス - シンプル

モダン・データ・エクスペリエンス - シームレス

モダン・データ・エクスペリエンス - サステナブル

クラウド・データ・サービス

ピュア・ストレージの製品は構成も操作も簡素で、オンプレミスでもクラウドでも共通のスキルで管理できます。多数のプロトコルに対応し、多様なストレージ・クラスに適しており、マルチクラウド環境を透過的に連携できます。無停止での拡張が可能で、継続的にアップグレードしていくことができる持続性にも富んでいます。

将来的なプロダクトとしては、Amazon Web Services(AWS)や Microsoft Azure を活用したクラウド・データ・サービスの開発が順調に進んでいます。これにより、最小限の再設計で AWS や Azureとの間でオンプレとデータを活用でき、さまざまなユースケースでパブリック・クラウドの経済性を活かせます。

クラウド・データ・サービス

Cloud Block Store

Cloud Block Store は、ピュア・ストレージのソフトウェアを搭載し、AWS 上に提供されるブロック・ストレージです。クラウド上でティア 1 アプリケーションを実行するプロダクトとして、10 か月のベータテストを経て正規版として公開されました。オンプレミスからパブリック・クラウドまで一貫した操作感と自動化を実現します。

CloudSnap

CloudSnap は、FlashArray に搭載されたシンプルな自動スナップショット/バックアップ機能で、AWS に加えてMicrosoft  Azure(Azure Blob)にも対応しました。

FlashArray ファミリ

最近では新しいメディアとして、最も容量単価の小さな QLC と DRAM 並の性能を発揮する SCM が追加され、FlashArray シリーズでも採用しています。

新しいメディアの出現

DirectMemory

SCM を採用した DirectMemory シリーズは、FlashArray をさらに高速化します。

  • 最適化
    • 最大 2 倍のアプリケーション処理速度
    • レイテンシを 50% 削減
  • シンプル
    DirectMemory を入れるだけでキャッシングがスタート
  • Evergreen
    • //X70、//X90 で利用可能
    • データ移行、フォークリフト・アップグレードなし
  • Pure1 META
    お客様のワークロード処理データに基づくキャッシング

ディスク・アレイで 5 分かかっていた DB クエリが、FlashArray//M で 10 秒に高速化され、さらに DirectMemory で 1 秒まで短縮されるという具合です。

データ・アクセス最適化の歴史

FlashArray//C

FlashArray//C は、QLC を採用してキャパシティ(容量密度)を追求した初めてのフラッシュ・ストレージです。一般的なティア 2 アプリケーションで利用されるストレージは、管理が煩雑で性能に一貫性がなく、可用性や拡張性に難があるといった課題がありました。FlashArray//C は、HDD の経済性とフラッシュの性能を実現し、エンタープライズに必要な機能を持ち合わせています。

  • フラッシュのパフォーマンスを HDD の経済性で実現
    • QLC アーキテクチャによりティア 2 アプリはオールフラッシュのパフォーマンスを享受することができる:およそ 2 – 4 ms のレイテンシ
    • 最大のモデルでは、9U で 1.4 PB(実効容量 5.2 PB)という高密度を確保でき、従来の HDD より 10 倍以上の集約度を実現
  • エンドツーエンドで QLC を最適化
    • QLC NAND の書き込み回数制限問題をソフトウェアの技術で回避するとともに、市場でもトップクラスの経済性を実現
    • もちろん FlashArray 同等の Evergreen Storage プログラムを用意
  • 妥協なしのエンタープライズ・クラス・ストレージ
    • 99.9999% 以上の可用性を実現
    • Pure1 クラウド・マネジメント、API 自動化、AI ベースの容量増加予想プログラムなどを提供
  • 全てのデータ・ワークフローにフラッシュを
    • ポリシーベースのレプリケーション設定、スナップショット、クラウド間のマイグレーション
    • さらにフラッシュをアプリケーション階層化や、DR、テスト/開発にも適用可能

FlashBlade ファミリ

FlashBlade においては、150 ブレード/最大 8 PB までスケールアウトできるようになる計画があります。2020 年の早い段階で、レプリケーション機能も利用可能になる予定です。また 2020 年の後半には、ブロック・データでもファイル・データでも扱えるユニファイド・ストレージをローンチする計画もあります。

Pure-as-a-Service

IDC の調査によれば、データ利用もサブスクリプション・モデルが望ましいと考えるユーザーは、過半数に上るそうです。そこでピュア・ストレージでは、容量を利用した分だけ料金が発生する Storage-as-a-Service に注力したいと考えています。Pure-as-a-Service では、従量課金制のストレージ・サービスを提供する予定です。

Pure-as-a-Service ハイブリッド・クラウドを統一

おわりに

詳しい製品説明やご提案をご希望の場合は、ぜひ担当の営業/SE、またはお付き合いのある販売パートナーにお知らせください。お問い合わせページからのご連絡もお待ちしております。

The Orange Ring – Tech の今後の開催スケジュールは、ただいま調整中です。決定しだい、本ブログ、ピュア・ストレージの Web サイトおよび Facebook でご案内します。

The Orange Ring – Tech ブログシリーズ

第 1 回 新しいストレージのカタチ-高速堅牢なオールフラッシュをクラウドライクに利用する
第 2 回 イマドキのストレージ設計-容量・性能はどう決める?
第 3 回 データ保護の最後の砦-バックアップの考え方
第 4 回 目標は簡素、実効は複雑なストレージマイグレーション
第 5 回 NVMe を最大限に活かすストレージ・ネットワーキングとは
第 6 回 AI/ビッグデータをビジネスに活かすには-統合ストレージの重要性
第 7 回 ストレージ運用の問題はアーキテクチャから解決する
第 8 回 最先端のストレージ監視-迅速な障害対応や将来予測が可能に
第 13 回 ピュア・ストレージのアプローチは他社とどう違うのか?


Pure Storage、Pure Storage のロゴ、およびその他全ての Pure Storage のマーク、製品名、サービス名は、米国およびその他の国における Pure Storage, Inc. の商標または登録商標です。その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。