はじめに

ピュア・ストレージ・ジャパンは、ユーザーコミュニティ「The Orange Ring(オレンジリング)」の活動を強化しています。お客様のデジタル変革の推進を支援するさまざまな取り組みを計画しており、その取り組みの一環として、「The Orange Ring – Tech」では、技術に関心をお持ちの方を対象としたストレージ入門セミナーの開催を開始しました。このセミナーは今後定期的に開催する予定です。「Ring」は「相互に情報を交換する」ことを表しています。いずれは参加者(お客様)が互いに発信する場へと成長させていきたいと考えています。

本稿では、2019年8月2日開催の第 1 回『ストレージ入門』から、近年注目度が高まっているフラッシュストレージの利点と問題点、および、ピュア・ストレージを選ぶ利点について、わたくし志間と、プリンシパルシステムズエンジニアの岩本知博が行った解説と実機デモの内容を抜粋してご紹介します。

繊細過ぎて壊れやすいハードディスク

ストレージは、改めて言うまでもなくデータを記録するための装置です。企業ではさまざまなストレージメディアが利用されています。長期間のバックアップ用途には磁気テープ、メインストレージにはハードディスク(HDD)、コンピュータ内部の一時記憶用にはメモリ(DRAM、SRAM)、業務では光ディスクやメモリカードなども活用されています。

図 1 – ストレージとは

業務システムでは、長年にわたってハードディスクが主に利用されてきました。ハードディスクのアーキテクチャは 50 年以上も前に開発されたもので、その当時から大きな変化はありません。当初から、非常に高度で繊細な技術が利用されています。

図 2 – ハードディスクとは

磁気ディスクと、データを読み取る磁気ヘッド(1.25 mm)の距離は、たったの 15 nm 程度です。これは 70 m のジャンボジェット機が 0.9 mm の高さを飛ぶようなものです。また、データの読み取り位置を決める技術には、ゴルファーが 45 km 先のカップにホールインワンを決めるほどの精度が求められます。

図 3 – ハードディスクのテクノロジー

データにアクセスする際の挙動も複雑です。ディスクを高速に回転させ、磁気ヘッドの位置合わせを行い、読み込み位置を待ち、データを読み込んで転送するという作業が発生するため、どうしても時間がかかってしまいます。

図 4 – HDD のデータアクセス

このように精密で可動部分が多い機械であるため、壊れやすいのは当然です。そこでディスクが壊れてもデータが失われないように「RAID」技術が発展しました。しかし、この技術にも限界はあり、運用も煩雑になりがちです。

図 5 – データ保護技術 RAID

最新のニーズにはフラッシュが最適

上述のように、ハードディスクのアーキテクチャは当初からそれほど変化しておらず、磁気素子の改善で容量密度を増加させたり、回転数を上げて読み込みを高速化したりという程度です。ネットワークは 9か月ごとに倍、CPU やメモリは 18か月ごとに倍と急速に高速化が進んできましたが、ハードディスクの性能は 15年で 100倍という数字にとどまっています。

図 6 – ハードディスクの可能性

また一方で、仮想化技術の発展によって、ストレージの利用形態にも変化が生まれました。仮想化環境は、多種多様なシステムが稼働するため多種多様な I/O が発生し、「I/O ミキサー」とも呼ばれています。そのため従来型のストレージでは、性能不足で重大なボトルネックになってしまいますし、トラブルシューティングなど従来型の管理手法を適用するのも困難です。高速なストレージが求められるため、高コストになってしまうのも問題視されています。

図 7 – ストレージ利用形態の変化

そこでフラッシュストレージが注目されたのです。ハードディスクは、アーキテクチャの特性上、データへの距離が不均等であるため応答速度を維持することが困難です。フラッシュメモリであれば、データと仮想マシンの距離が均一であるため、I/O ミキサーであっても低遅延を維持することが可能なのです。

図 8 – フラッシュが注目される理由

しかし、フラッシュは高価であることが大きな問題の 1 つでした。当初は、ハードディスクのほうが圧倒的な容量単価/コストパフォーマンスを誇っており、小さなフラッシュを利用した階層化モデルを採用するのがせいぜいで、導入を諦める企業も少なくありませんでした。

Pure Storage の創業と Os76 の発表

フラッシュのメリットに注目したジョン・コルグローブ(John Colgrove)とジョン・ヘイズ(John Hayes)は 2009 年、フラッシュストレージ専門の企業を創業し、シンプルで信頼性が高く、低コストなオールフラッシュストレージ「Os76」を発表しました。

図 9 – 2013 年当時の Pure Storage
図 10 – Os76

そして、2014 年にガートナーが初めて発表したソリッドステートアレイのマジック・クアドラントで、ピュア・ストレージは IBM や Dell EMC と並ぶリーダーの位置を獲得しました。

図 11 – ガートナー MQ の SSA 部門リーダー(2014年)

可用性と性能を追求したアーキテクチャ

ピュア・ストレージの最大の特長は、高い可用性です。メンテナンス時間を含めた稼働率はワールドワイドで 99.9999% を実現しており、日本国内に限れば 2013 年より 99.99999% という驚異的な稼働率を維持しています。

図 12 – 可用性の実績

これは、既存のストレージ製品のようにできるだけ壊れないようにするのではなく、壊れることを前提として、あらゆるコンポーネントをモジュール型アーキテクチャで冗長化するよう設計されているためです。もし NVRAM やコントローラーに障害が発生しても、SSD に二重障害が発生したとしても、OS をアップグレードするときも、いきなり電源ケーブルを引き抜いたとしても、完全に冗長化されたシステムはすぐに復旧し、性能や応答速度を維持し続けます。このように、多少雑な扱いをしても問題なく稼働し続けるという意味で、まさに「家電のようなストレージ」です。

図 13 – モジュール型アーキテクチャ

さまざまなワークロードに対して、まんべんなく高い性能を発揮するのも、ピュア・ストレージの特性の 1 つでしょう。「高速なストレージ」とうたう製品の中には、固定長(4 KB、8 KB)のブロックデータに最適化したものも少なくありません。ピュア・ストレージのフラッシュアレイは、可変長に最適化されており、ブロックサイズの小さなデータベースから、巨大なブロックを扱う VDI まで、幅広く最適な性能を発揮します。

図 14 – ワークロードを選ばないアーキテクチャ

ピュア・ストレージでは、非常にレベルの高いデータ圧縮・重複排除技術を採用しており、圧倒的なデータ削減率を実現しています。VDI なら 10~20 倍、VSI なら 6~9 倍、データ削減が難しいとされるデータベースでも 2~5 倍のデータ削減効果が得られ、他社製品の数倍の性能を発揮します。しかもピュア・ストレージでは「容量保証プログラム」を提供しており、万が一、想定した効果が得られなかった場合には、必要な分の容量を無償で追加します。

図 15 – データ削減率の実績値

シンプルにサービスとして運用できるストレージ

ピュア・ストレージは、運用もライセンスも、パブリッククラウドのようにシンプルに利用できます。

図 16 – Evergreen でシンプルに

クラウド型管理ツール「Pure1」は、多くの管理作業を 1 ステップでシンプルに運用できるのが特長で、AI 技術を応用した障害予兆・検知やサポートの自動化も組み込まれています。場合によってはスマートフォンからアクセスし、運用作業を行うことも可能です。

全ての機能が標準ライセンスに統合されており、オンプレミス環境においても使った容量ベースの従量課金の STaaS(Storage as a Service)として利用できます。さらに、上述のように保守サポートも極めてシンプルで、長期間にわたる継続的利用を可能にしています。

ピュア・ストレージは独特の保守サービスを提供しています。例えば、コントローラーは 3 年ごとに無償で最新のものにアップグレードされます。ストレージを追加するときでも、保守を新しい契約に一本化することが可能で、容量を再購入する必要はありません。

私たちは、これらの特長を総称して Evergreen Storage と呼んでいます。ライセンスは OPEX のみでシンプル。チューニングを必要とせずにあらゆるワークロードを高速にさばき、運用監視や障害復旧・予測のほとんどは Pure1 が自動的に行ってくれます。ハードウェアはいつのまにかに最新のものへとアップグレードされ、サービスに影響することはなく、データ移行も不要です。ピュア・ストレージは、存在を忘れることができる自律型ストレージを実現したのです。

モジュールを抜いても電源を落としても性能を維持

講演の最後には岩本が登壇し、ピュア・ストレージの最大の特長である可用性についてのデモンストレーションを行いました。このデモンストレーションと同様の内容はこちら(YouTube)でご覧になれます。

図 17 – 岩本によるデモ(YouTube より)

岩本は、ピュア・ストレージ・ジャパン本社で待機していたスタッフとビデオチャットでつなぎ、サーバールームに設置されたデバイスの操作を指示しました。デモ用システムは、各コンポーネントに加えて 2 台のシャーシを用いて全体の冗長化も図っています。

岩本の手元の PC では、Pure1 の管理画面を開き、動作状況のグラフを表示させておきました。本社スタッフは岩本の指示どおり、ストレージを稼働させたまま、ドライブやキャッシュメモリを引き抜いたり、電源スイッチをオフにしたりして、障害を発生させました。

「いずれの障害が発生しても、Pure1 のグラフにはごく短時間のブレが生じる程度で、速やかに元の性能・稼働状態に復帰します。片方の電源をオフにしても、性能を維持し続けることができ、サービスに影響することはありません。」(岩本談)

The Orange Ring – Tech の開催スケジュールと参加お申し込みについては、こちらをご覧ください。


Pure Storage、Pure Storageのロゴ、およびその他全てのPure Storageのマーク、製品名、サービス名は、米国およびその他の国におけるPure Storage, Inc.の商標または登録商標です。その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。