いろいろな方法がある
vSphere 環境のバックアップ / リストアにはいろいろな方法があり、それらを紹介しているサイトは既に多く存在します。このブログでは、スナップショット、クローン、レプリケーションなど、ストレージの機能と連携した手法にフォーカスを当てたいと思います。
なぜストレージと連携するのか
スナップショット、クローン、レプリケーションの機能は vSphere にも実装されており、それを使えばよいのでは?と考える方もいらっしゃると思います。しかし、比較的大規模な環境で運用されている方々にとっては、ストレージの機能と連携させるのがセオリーになっているのではないかと思います。その理由は、ESX ホストに負荷がかかることで問題が生じるため、ストレージが得意なことはストレージに任せてしまおうと考えるのが自然だったからです。VAAI もその考え方が根底にあります。
ストレージは大雑把なのか
ストレージのスナップショット、クローン、レプリケーション機能を利用して仮想環境のバックアップ/リストアを考える場合に理解しておくべきことがあります。
バックアップを取るのは「データストア単位」でもさほど問題にはなりません。業務システム単位にデータストアを分けている場合は、その方がむしろ都合がよい場合もあります。
しかし、リストアが「データストア単位」に行われてしまうのは非常に困ります。なぜなら、そのデータストア内にある全ての仮想マシンがリストアされてしまうからです。ほとんどの場合、リストアの粒度はもっと細かい単位(仮想マシン単位、vDisk 単位、vDisk 内のファイル単位)ですので、こんな大雑把なリストアしかできないようでは運用に耐えられません。
NAS は小回りが効くのか
大手ストレージベンダーの NetApp 社は、NAS の特性をうまく利用してリストアの粒度を上げました。NAS ではストレージ自体がファイルシステムを持つため、ファイルの存在を認識できるという特性をうまく利用したのです。仮想マシンを構成するファイル名および拡張子には規則性がありますので、そのファイル群だけを狙い撃ちすることで仮想マシン単位のリストアすることを考えたのが VSC(Virtual Storage Console)です。
ここでは詳細は省きますが、NAS なら全ての製品でこれができるわけではありませんので、さすが老舗の NAS ベンダーといったところでしょうか。最近、VSC は SnapCenter に変わり、ライセンス体系も変更されたようです。
これに対し、SAN の場合は ESX ホストのファイルシステム(VMFS)を使用するため、ストレージ側ではファイルの認識はできません。よって、仮想マシンを構成するファイル群だけを狙い撃ちすることはできません。
でも安心してください!方法はあります!
次回は、「SAN ストレージのスナップショット機能を使いつつ、リストアの粒度を上げる」方法について解説します。どうぞお楽しみに!