シリーズ「vSphere 環境でのバックアップとリストア」の最終回となる今回は、SAN ストレージでリストアの粒度を上げる方法として、VMFS データストアを使用する場合の「お金はかかるが簡単な方法」をご紹介します。
「お金はかかるが簡単な方法」とは
前回の記事でもご説明しましたが、「お金はかかるが簡単な方法」とは、有償のバックアップソフトウェアを使用することを意味します。世の中にはいろいろなバックアップソフトウェア製品がありますが、ここで必要なのは「vSphere のスナップショット」と「FlashArray のスナップショット」との連携が可能なバックアップソフトウェアです。
有償である価値とは
こういったバックアップソフトウェアでは、取得したデータストア単位のバックアップ(FlashArray 内のスナップショット)から、データストア単位のリストアだけでなく、仮想マシン、仮想ディスク、仮想ディスク内のファイルなど、さらに粒度の細かい単位でのリストアを極めて容易に実現できます。
さらに、ゲスト OS 側に専用のエージェントソフトウェアをインストールすることなく、Active Directory のユーザーや Oracle データベースのテーブル、SharePoint のアイテムまでリストア可能な製品もあります。単に仮想ディスク内のファイル単位のリストアを実現するだけでなく、便利な付加機能がついているのです。さすが有償ソフトウェア!よくできています。
リストアのサービスレベルを上げることが重要視され、かつ、特別なスキルを持つ限られた担当者だけでなく、誰でも簡単に運用できることが求められる場合には、「お金はかかるが簡単な方法」は非常に有効な選択肢となります。
代表的なバックアップソフトウェア
前述の条件を満たすバックアップソフトウェアはいくつかありますが、代表的な製品は次のとおりです。
- Veeam Availability Platform (Pure Storage プラグインをサポート)
- Commvault Complete Backup & Recovery (IntelliSnap をサポート)
Veeam Software 社
Veeam Software 社は、2006年設立、仮想環境に特化した製品から発展した企業です。社名である「Veeam」は、仮想マシンを意味する「VM」の英語での発音に由来します。日本語読みでは「Veeam」は「ビーム」、「VM」は「ブイエム」で、音が異なりますが、英語のネイティブスピーカーが発音すると、多くの日本人にとっては聞き分けが難しいのではないかと思います。当社は、名が示すとおり、仮想環境と相性のよい数々の製品を提供しています。
Veeam Software 社 バックアップソフトウェア 関連リンク
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- Veeam Software 社 企業サイト
- Veeam Backup & Replication 向けの新しい Pure Storage スナップショット統合を提供開始 | Veeam Software 社
- Pure Storage 向け Veeam ハイパー・アベイラビリティ| Veeam Software 社
- Pure Storage と Veeam のゴールデンコンビ、誕生 | ネットワールド らぼ
- Veeam と Pure Storage の組み合わせで仮想化基盤のデータ保護を高速かつ確実に実現 | 東京エレクトロンデバイス社
- Veeam アプリケーションの可用性とパフォーマンス | ピュア・ストレージ
- Veeam and Pure Storage ー Integrated Deployment Guide | ピュア・ストレージ
- Pure Storage Plug-in and Integrations with Veeam | ピュア・ストレージ
- Veeam Backup with Pure Storage Solutions | ピュア・ストレージ
Commvault Systems 社
Commvault Systems 社は、サーバーの仮想化が普及する前の 1996 年に設立され、設立当初は物理サーバー向け製品を提供していました。当社の製品は、考えつくことはほぼ全て実現可能なのではと思えるほど、機能が豊富であることが特徴です。
Commvault Systems 社 バックアップソフトウェア 関連リンク
まとめ
これらのバックアップソフトウェアをお使いいただくことで運用が非常に簡単になり、ユーザーの満足度も高まるであろうと思われます。
前回の記事の最後で少し触れましたが、バックアップソフトウェアにお金をかけるか否かは、予算や運用によってその判断は別れるところです。また、検討中のバックアップシステム全体で何をどこまで実現するかは、お客様によって異なるはずです。それを実現する製品にも機能的な差異がありますので、多様な製品を扱うシステムインテグレーター様などにご相談いただくとよいのではないかと思います。
ご高覧いただきありがとうございました!
今回で、シリーズ「vSphere 環境でのバックアップとリストア」は終了となります。
プライベートを含めて、ブログというものを書いたのは初めてでした。初めて訪問したお客様との打ち合わせ中に、「あのブログに書いてある内容ですが・・・」とご質問をいただいたり、販売パートナー様から、「次号はいつ公開されますか?公開が遅くなりそうなら先に内容を教えてください!」とお問い合わせをいただいたこともありました。ネタを考えてスクラッチから記事を書くのはとても大変でしたが、やってよかったなと地味に感動しております。
次回からのネタはまだ決めていませんが、皆さまに興味を持っていただける内容にしたいと思っております。お楽しみに!