はじめに
フィールドマーケティングマネージャーの正見です。ライブ・ストリーミング配信で技術セミナー「The Orange Ring Webinar」をほぼ毎週開催しています。2021 年 2 日 4 日のセッション「時代はオールフラッシュ!現代企業に最適なストレージとは?」では、パフォーマンスとコストを両立させるストレージの選択、ピュア・ストレージの製品が現代企業のストレージ運用にどのように貢献できるのかを解説しました。本稿では、セッションの内容を抜粋してご紹介します。
モダン・データ・エクスペリエンスの実現
ピュア・ストレージは、2009 年にオールフラッシュ・ストレージ専業のベンダーとして創業して以来、多くのお客様にお引き立ていただいています。ビックデータ・クラウド時代のあらゆるデータを包括し、ビジネスを最大限に加速するモダン・データ・エクスペリエンスの提供をミッションとして、現在までに全世界で 8,150 社を超えるお客様にご利用いただいております。
- 創業:2009 年、カリフォルニア州マウンテンビュー市にてソフトウェア・エンジニアにより創業
- 製品:2012 年より FlashArray シリーズ、2017 年より FlashBlade の販売を開始、2019 年 FlashArray シリーズを拡充
- 導入実績:全世界 17,000 台以上 / 顧客数 8,150 社以上 / 国内 700 台以上
- テクノロジー:特許 300 件以上(申請中のものを含む)
- 日本での展開:2013 年 2 月 ピュア・ストレージ・ジャパン設立 / 2016 年 4 月 西日本支店開設 / 2017 年 12 月 中部名古屋支店開設
- 販売拠点:米国、欧州、日本、韓国、シンガポール、オーストラリアなど世界 27 カ国
2020 年のガートナー マジック・クアドラント「プライマリ・ストレージ・アレイ部門」では、「実行能力」および「ビジョンの完全性」の両軸上でリーダーの最上位の評価をいただきました。ピュア・ストレージは同社のマジック・クアドラントのさまざまな分野において 7 年連続でリーダーに位置付けられています。
また、IDC の 2020 年第 2 四半期 Quarterly Enterprise Storage Tracker によると、日本のエンタープライズ・ストレージ市場が 4.7% 縮小するなか、ピュア・ストレージは 24.1% 増の成長を達成。第一四半期では、日本の外付型ストレージ市場が 4.3% 縮小するなか、ピュア・ストレージは前年同期比 37.5% 増という結果でした。
ピュア・ストレージの製品ポートフォリオは、大きく次のように分けられます。
- 構造化向け製品:データベースや仮想化、VDI をカバー
- 非構造化並びに半構造化向け製品:分析ログや AI、IoT などの機械学習、バックアップやディザスタ・リカバリ
いずれの製品も永久保証の Evergreen プログラムと監視ツールである Pure1 をご利用いただけます。
- クラウド:
- Cloud Block Store ― これまでオンプレでご利用いただいていたピュア・ストレージ製品と同様の機能を AWS で利用可能。ハイブリッド・クラウド間でのデータ移行、データ保護や、オンプレおよびパブリック・クラウドで一貫した操作性と自動化が可能。
- CloudSnap ― バックアップを安価の NAS やクラウドにバックアップ可能。
ピュア・ストレージにできる貢献
さて、現代企業のシステム・インフラに欠かせないストレージをどのように選択するべきでしょうか。ストレージに求められる仕様とはどういったものかを考えてみましょう。
- 冗長性:全てのコンポーネントが冗長化されていて、性能縮退しない仕様を実装している。
- 性能:サービス要件を満たしている。
- 柔軟性:お客様自身でも設定変更が可能で、RAID 設計が必要がない。
- 簡易性:追加のライセンス費用が不要で、サービス停止が起こらない。
これらの条件を満たすためにピュア・ストレージにできる 4 つの貢献をご説明します。
1. 快適なレスポンスの維持(利便性)
- ワークロードを選ばないアーキテクチャ
- メンテナンス、障害時も低レイテンシを維持
快適なレスポンスの維持と利便性が保たれている様子を具体例を用いてご紹介します。下の図は、国内最大規模の環境での実績値を表しています。「Latency」と表示された上の段を見ると、ほぼ 1.0 ms 未満をキープしていることがわかります。
では、1.0 ms 以上を示したときには、どういったことが起きたのでしょうか。下の図では、左から時系列に事象が発生しています。
最初に FC ケーブルを抜線していますが、ほぼインパクトはなく 1.0 ms でした。続いて NVRAM の障害が起きた際には、少しの間 3.0 ms という遅延が起きましたが、すぐに 1 ms 未満に戻ります。この後、OS のアップグレードやコントローラの障害といったいくつかの障害が見えますが、いずれの場合もほぼインパクトはありませんでした。
このように、性能を落とさず運用が可能なため、安定してご利用いただけることがわかります。
2. 高い信頼性と安全性
- メンテナンス時間を含めた 99.9999% の可用性
- 全データを暗号化、物理的な持ち出しにも対応
ピュア・ストレージは、メンテナンス時間を含み、99.9999% の可用性を提供しています。これを年間に換算すると、ダウンタイムがあるとすれば 1 年間 31.5 秒となります。これを実現するための故障対策として、ハードウェア品質を重視しつつもいつかは壊れるという前提のアーキテクチャを採用しています。
また、ハードウェア故障時にサービスへの影響がないよう、全ハードウェア・モジュールは二重化されており、ホット・スワップでの交換が可能となっています。ソフトウェアのメンテナンス、アップグレードの際にもサービスへの影響はありません。ソフトウェア定義による RAID6 相当の RAID 構成により、ドライブ 2 本までの同時障害に対応可能です。
さらに、シンプルなモジュール交換、高速なリビルドが可能で、かつ、リビルド時間中の性能影響はありません。
ピュア・ストレージのハードウェア・デザインについて、FlashArray を例に少しだけご紹介します。FlashArray は、全てコンポーネント化されています。それぞれが独立したデザインになっており、外側に最大で 20 本のドライブが入ります。加えて、書き込みキャッシュに相当する NVRAM モジュールが 2 本、または 4 本に分かれています。
裏側は、ストレージのコントロール・モジュール(CPU)を 2 基搭載しています。冗長化されているため、交換時に電源を落とす必要がなく、オンラインで対応可能です。このため、無停止でメンテナンスやアップグレードができます。
また、全てのデータが常に暗号化されています。メタデータ、実データともに暗号化されており、ドライブ輸送における盗難や紛失に対する保護も可能です。性能オーバーヘッドがないインライン処理を実現しており、フラッシュ・モジュールに書き込む前に暗号化(インライン)します。処理中の性能影響はありません。
キー管理が全自動化されています。アレイがキーを自動管理しており、ユーザー側での設定は不要です。24 時間ごとにキーを自動作成し、安全性を担保します。
3. コストダウンとグリーン化
- 集約密度を極めるハードウェア・アーキテクチャ
- 業界 No.1 のデータ削減技術による省スペース化
もし、今お使いのストレージが決して古くならないとしたら?夢物語のような話だと思われるかもしれませんが、ピュア・ストレージの Evergreen プログラムはそれを実現しています。一度ご購入いただいたストレージが「永久保証」される、それがピュア・ストレージのユニークなサブスクリプション・モデルである Evergreen プログラムです。一般的なストレージ運用では、数年ごとにハードウェア・システムの交換や買い替えが必要になり、それに伴うデータ移行作業などでさらにコストがかかっていました。ピュア・ストレージは、これをなくしました。
Evergreen は、定額保守契約を継続していただく限り、サービス停止を伴わずに 3 年後ごとにコントローラをアップグレードしながら、常に最新のテクノロジーと機能を永続的に使用していただく仕組みです。買い替えることなく定期的にテクノロジーのリフレッシュができるこの仕組みは、ハードウェアでありながら、ソフトウェアやクラウドと同じような所有モデルを可能にしています。
4. メンテナンス業務の効率化
- 極めてシンプルな運用監視
- クラウドと AI を活用した予測型サポート
メンテナンス業務の効率化を担うのが、ストレージ監視システム Pure1 です。Pure1 は SaaS ベースで提供されており、ブラウザおよびスマートフォンからご利用いただけます。お客様は、いつでも、どこからでもアレイの状況を確認できます。現在提供されている Pure1 の主な機能は以下のとおりです。
- 性能・容量情報の確認
- VMware 環境での性能情報の可視化
- 将来の性能・容量予測
- ハードウェアのシミュレーション
Pure1 は、ご購入いただいたシステムに実装されているため、無償でご利用いただけます。例外として、半年あるいは 1 年以上といった長期にわたる VMware 環境での可視化が必要な場合は、データ保存先としてのストレージ費用が発生します。
導入事例:三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券様
本セッションでは、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券様での利用事例をご紹介しました。
課題
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券では、機関投資家と複数の証券取引所間の株売買を仲介する株取引執行システムを運用されています。ミッション・クリティカルな株取引執行システムは、高い信頼性が求められるだけではなく、取引を成立させるために性能を高める必要がありました。
また、バックアップ / リストアの作業にかかる多大な工数を軽減し、無停止での運用が必須でした。
効果
当初目標にしていたデータベースのデータ圧縮率は、3.5 分の 1 でした。ピュア・ストレージの重複排除技術により、最終的に 4.4 分の 1 という数字を実現しました。実際に比較された他社のオールフラッシュ・ストレージに比べて 2 倍以上の効果がありました。
また、これまで毎週末に 2 日にわたって行っていたバックアップ / リストアの作業時間が、わずか数秒にまで短縮され、性能劣化のない無停止運用を実現しました。
おわりに
現代のストレージに求められる仕様に鑑みて、ピュア・ストレージにできる貢献を解説しました。詳しい製品説明やご提案をご希望の場合は、担当の営業や SE、お付き合いのある販売パートナーにお知らせください。お問い合わせページからのご連絡もお待ちしております。
ピュア・ストレージでは、YouTube のピュア・ストレージ・ジャパン・チャンネルを開設しており、製品のデモや技術的な内容を含むコンテンツを公開しています。また、Webサイトの導入事例では、業界を問わず、日本国内の事例を広くご紹介しています。ぜひご覧ください。
今後の The Orange Ring Webinar の開催スケジュールとご参加のお申し込みは、こちらのページをご覧ください。
Pure Storage、Pure Storage のロゴ、およびその他全ての Pure Storage のマーク、製品名、サービス名は、米国およびその他の国における Pure Storage, Inc. の商標または登録商標です。その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。