はじめに
ピュア・ストレージ・ジャパンでは、お客様のデジタル変革を支援する取り組みの一環としてライブ・ストリーミング配信にて技術セミナー「The Orange Ring Webinar」を開催しています。2021 年 2 日 10 日開催の「オールフラシュ・ストレージを永久保証!システム再購入からの脱却」では、老朽化更改を不要にしてコスト削減を実現する Evergreen プログラムについて解説しました。本稿ではセッションの内容を抜粋してご紹介します。
ストレージが古くならないとしたら
システムのご担当者様は、ストレージを運用するうえでさまざまな悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
- 複雑な初期導入設定
- 一定のサービス停止リスク
- 膨大なスペース / 電力消費
- 定期的な保守費の上昇
- 大掛かりなアップデート / データ移行
- 5 年ごとのシステム更新 / ハイブリッド・クラウド未対応
考えれば枚挙にいとまがないでしょう。
では、もし一度購入したストレージが経年劣化で性能が落ちるといった心配がなく、無停止運用が可能で、省エネ、省スペースも図れるとしたらいかがでしょうか。
Evergreen プログラム-革新的なサブスクリプション・モデル
これまでの一般的なストレージ製品は、数年ごとにハードウェア全体を更新する必要があり、その度に多大なコストがかかっていました。ハードウェアは使い続ければ故障率が徐々に上昇し、部品の交換が必要になっても型落ちで価格が割高になったり製造が終了していることも少なくありません。仕方なくリプレースを行う場合もあるでしょう。これらの問題を回避するために、5 年前後の期間でハードウェアを総入れ替えするというサイクルが自然に確立され、これが IT 業界全体の常識になっているように思います。
ピュア・ストレージの Evergreen プログラムは、ご購入いただいたストレージを永久保証する新しい保守モデルで、サブスクリプション方式でご提供しています。サポートを継続している限り、常に最新のテクノロジーと機能をサービス停止することなくアップグレードし、永続的にご利用いただけます。ハードウェアでありながらソフトウェアやクラウドと同じような所有モデルを実現した画期的な仕組みです。
- 新規での導入作業は最初の一度だけ
- 保守切れなどによる老朽化更改不要
… 定額の保守料金で、3 年に 1 度最新のコントローラに交換
… 老朽化更改が不要、データ移行も不要 - 最新環境への無停止アップグレード
…冗長化により無停止でコントローラの交換が可能、性能も向上
Evergreen による TCO 削減効果
一般的な従来型のストレージと、Evergreen プログラムで永続的に使用できるピュア・ストレージの TCO を比較してみます。下の図は、上段が従来型のストレージ、下段がピュア・ストレージを約 10 年間運用した場合の TCO を表しています。
従来型のストレージは、初年度にハードウェア / ソフトウェア の導入、保守、電気、スペース、管理のコストがかかります。次年度以降は、OPEX(Operating Expense:運用コスト)として継続的に保守コストがかかります。あるタイミング、ここでは 4 年目以降に保守更新を実施して保守料金が上がるケースを想定しています。6年目にはリプレースが必要になり、ハードウェアの新規購入とデータ移行作業のコストといった更改コストが CAPEX(Capital Expenditure:設備投資)として発生します。
一方、ピュア・ストレージは、初年度は同様にハードウェア / ソフトウェアの導入、保守、電気、スペース、管理のコストがかかります。ただし、次年度以降は定額の保守および運用コストだけになります。設備投資を抑制し、省エネ・省スペースのため運用コストも抑えながら永続的な運用が可能です。10 年の運用でどの程度のコスト削減ができるかといったシミュレーションが可能ですので、ぜひご相談ください。
このように、新規でストレージを導入したら次のリプレースを考えるという従来のフォークリフト・アップグレードは、多大なリスクを伴うデータ移行や更改費用が生じます。ピュア・ストレージは、Evergreen プログラムにより、導入は最初の一度だけで、お客様のご利用用途に応じて機能の追加、容量の追加、アップグレードを実施しながら使用できます。リプレースの必要がないため、データ移行の作業が生じることはありません。
また、ピュア・ストレージは、全オペレーションにて無停止かつ性能劣化なしで、メンテナンス時間を含む 99.9999% の可用性を実現します。「99.9999% の可用性」を年間で表すと、わずか 31.5 秒です。運用管理の負荷を軽減することで、その時間を生産性の向上にご活用いただくことが可能になります。
ユーザー導入事例
Evergreen プログラムをご利用いただいているユーザー様の事例を 2 つご紹介します。
サントリーシステムテクノロジー株式会社様
国内外 300 社以上に及ぶサントリーグループに IT サービスを提供されているサントリーシステムテクノロジー様は、サントリーグループの基幹システムを管理、運営されています。ストレージの運用は、性能とコストを重視した 3 階層でしたが、複数の課題をお持ちでした。
課題
- ストレージのリプレースに伴うデータ移行作業をなくしたい。
- 3 階層で運用しているストレージ・システムを統合化したい。
… 基幹業務の運用に耐えうる高信頼性を確保する。
… 障害対応の迅速化を図る。 - 将来のクラウド環境でも活用できるストレージ基盤を構築したい。
PoC の要件
- TCO の削減 … 筐体の集約によるストレージ・コストの削減、省スペース化、省電力化
- 工数削減 … リプレースおよびデータ移行を不要にし、運用を簡素化
効果
- ストレージ・コストを 65% 削減
- ストレージの設置場所を 95% 削減(5 ラック → 13U)
- 消費電力を 90% 削減(24.2 kVA → 2.3 kVA)
- 年間平均で 約 700 時間の運用工数を削減
- Evergreen の利用で保守コストのみに抑えられ、データ移行作業が不要に
- 比較した 4 製品の中で最も高性能
株式会社デンソー様
自動車部品メーカーとして国内最大手の株式会社デンソー様(旧:株式会社デンソーITソリューションズ)では、自社およびグループ会社の業務を支えるプライベート・クラウド環境を構築、運用されていました。2011 年に初期導入以来、更新と毎年数百 TB 程度の容量追加が行なわれた結果、システムの総容量は数 PB という規模に達していました。更新時期を迎え、データ移行の作業負担が課題として浮上していました。
課題
- システムの安定稼働と耐障害性を担保した無停止運用
- データ移行作業を含む老朽更改作業を排除
- 省電力化、省スペース化
効果
- Evergreen により、これまで 7 ヶ月以上を要していた老朽化更新作業を大幅に低減
- ダウンタイムがなく、ビジネスの俊敏性の向上に寄与
- 深刻なトラブルの発生はなく、故障発生率自体もハードディスクと比較して格段に低い
… ハードディスクは摩耗するが、SSD にはそれがない - 管理インターフェースや使い勝手がシンプル
- オールフラッシュ化による省電力、省スペース
おわりに
今回は、ストレージの永続的な使用を可能にする画期的な Evergreen プログラム について解説しました。詳しい製品説明やご提案をご希望の場合は、担当の営業や SE、お付き合いのある販売パートナーにお知らせください。お問い合わせページからのご連絡もお待ちしております。
ピュア・ストレージでは、YouTube でピュア・ストレージ・ジャパン チャンネルを開設しており、製品のデモや技術的な内容を含むコンテンツを公開しています。また、Web サイトの導入事例では、業界を問わず、日本国内の事例を広くご紹介しています。ぜひご覧ください。
今後の The Orange Ring Webinar の開催スケジュールとご参加のお申し込みは、こちらのページをご覧ください。
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