VDI ベースのリモート業務環境にお困りのあなたへ ― 新時代の VDI 環境とは?

【05.28.2021 JST】ライブ・ストリーミング配信による技術セミナー The Orange Ring Webinar のセッションから、今回は「VDI ベースのリモート業務環境でお困りのあなたへ ― 新時代の VDI 環境とは」の内容の一部を抜粋してご紹介します。

The Orange Ring Webinar 20210218

26分

はじめに

ピュア・ストレージ・ジャパンでは、お客様のデジタル変革を支援する取り組みの一環としてライブ・ストリーミング配信にて技術セミナー「The Orange Ring Webinar」を開催しています。本稿では、そのセッションの内容の一部から、リモートワークをサポートする快適な VDI(仮想デスクトップ・インフラストラクチャ)環境とはどのようなものか、また、どのような点に留意してシステムを選ぶべきかについて解説します。

VDI 導入における課題

リモートワークがニューノーマルとして受け入れられつつある昨今では、VDI を活用・検討されている企業が増えているのではないでしょうか。しかし、実際に導入しようとする場合、あるいは既存の VDI 環境をリプレースしようとする場合には、多くの障壁に阻まれることも多いでしょう。

  • 反応が遅く不安定なデスクトップ体験
  • 低速で複雑なデータセンターのインフラ
  • 標準化された再現可能なスタックの欠如
  • 非効率でスケーラビリティと信頼性に欠けるプラットフォーム
  • 価値実現までの時間の長さ

こういった課題の解決に長い時間を要するとの懸念から、VDI の導入を躊躇するケースがあるかもしれません。

コンバージド・インフラストラクチャの有望性

VDI の導入・運用は、どういったプロセスになるかを見てみましょう。

これまでの一般的な VDI 導入プロジェクトのライフサイクルは、時間のかかる非効率的なものでした。VDI プロジェクトを開始すると、まずは設計やアーキテクチャを検討して初期サイジングを行います。この例では、全社一律導入ではなく、特定の部門からのスモール・スタートを想定しており、機器もあわせて小さく調達して組み上げます。実際にパイロット導入をしてテスト、評価を経て運用が可能かを確認し、問題がなければ実際の本番環境に移行していくことになります。本番での運用が開始されたとしても、常にメンテナンスやモニタリングをして性能の維持を図る、もしくは向上を図ることは必須です。また、従業員の増加でより多くの容量が必要になるといった成長に応じたスケーリングも必要になります。さらに、更新やアップグレードも不可欠とされ、これらがサイクル化していくことになるでしょう。

一般的な VDI プロジェクトのライフサイクル
一般的な VDI プロジェクトのライフサイクル

このように VDI 導入までにかっていた時間を大幅に短縮するのが、コンバージド・インフラストラクチャです。コンバージド・インフラストラクチャとは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、ミドルウェアが、メーカーやベンダーによる検証済みの構成で組み上げられている製品を意味し、次のような特長があります。

  • ベンダー間で事前に検証済みの構成で提供
    … 本番環境でそのまま利用できる構成
  • 米国本社の開発元間で連携したソリューション・サポート
  • クラウド・ベースの管理ツール
  • アプリケーションをベースにしたデザイン・ガイド
    … 用途に応じた推奨構成

コンバージド・インフラストラクチャを導入する場合は、実際にプロジェクトを開始してサイジングとスケーリングをしたうえで機器の調達ができます。テストおよび評価による動作や性能の確認後、すぐに本番環境への移行が可能です。

コンバージド・インフラストラクチャの有望性
コンバージド・インフラストラクチャの有望性

このように、コンバージド・インフラストラクチャを利用することで、導入までのステップが軽減し、再現性が保証されるため、価値実現までの時間が短縮できます。

FlashStack

シスコ社とピュア・ストレージの共同開発による「FlashStack」

ピュア・ストレージは、シスコ社との共同開発によるベスト・オフ・ブリードのコンバージド・インフラストラクチャ FlashStack を提供しています。2015 年に両社のアライアンス活動として FlashStack を発表して以来、最近では、NVMe のストレージに対応した構成や、AI・深層学習のプラットフォームに適した構成も提供しています。

FlashStack を構成するコンポーネントは、コンピューティング・ノードに Cisco UCS、ネットワークには Ethernet スイッチの Cisco Nexus、FC スイッチの Cisco MDS、ストレージにはピュア・ストレージ製品が採用されています。筐体にはスイッチ(Fabric Interconnect)が組み込まれており、そのスイッチを介してサーバーを管理するというアーキテクチャが特長です。

FlashStack は、さまざまなワークロードにおいて高い性能で利用できます。Cisco 検証済みデザイン(Cisco Validated Designs:以下、CVD)には、現在 22 種類以上、30 以上のドキュメントがあり、SAP や SAS のような分析ワークロード、Oracle や SQL のようなデータベースのワークロード、というようにお客様が利用されるアプリケーションの運用に適した構成を準備しています。

Cisco 検証済みデザイン(CVD)

CVD は、一般的なマニュアルとは異なり、例えば、ピュア・ストレージ、Cisco、VMware というようにミドルウェアと組み合わせたメーカー 3 社共同のマニュアルです。FlashStack では、事前の基本設計や概要設計、ある程度の基本設定まで定義されているため、サイジング、基本設計、調達から構築、テストまで行うと通常では半年~ 1 年以上かかるプロジェクトも、それぞれ 50% 以上短い期間で完了できます。

また、 FlashStack は拡張性にも優れており、インフラのニーズにあわせてクラウドを独立してスケールアップできます。スモール・スタートではじめてミドルからエンタープライズ環境まで拡張したとしても、同じアーキテクチャ上でサービス提供が可能です。これが FlashStack が提供する共通アーキテクチャのメリットです。さらに、それぞれの利用用途にあわせてハードウェアの構成をチューニングできます。例えば、VDI 環境の場合は IOPS を重視、プライベート・クラウドでは CPU とメモリを重視、データベースでは容量と IOPS を重視、といった構成が可能です。

FlashStack が VDI に適している理由

FlashStack が VDI の性能要件にどう合致するかを見てみましょう。

優れた性能とユーザー・エクスペリエンス

FlashStack は、オールフラッシュ専⽤機を搭載した唯⼀のコンバージド・インフラストラクチャです。3D CAD などのリッチ・アプリケーションも楽々と実行できます。

  • 1 ms 未満の低レイテンシ:
    数分間で数千ものデスクトップの起動が行われるログイン・ストームや、ウィルス・スキャンのような大量の読み込み期間のように負荷が集中する時間帯でも、ユーザーに影響を与えない 1ms 未満の低レイテンシを維持します。
  • 業界屈指のデータ削減技術:
    ピュア・ストレージの重複排除や圧縮機能は、非常に効果の高い業界屈指のデータ削減技術です。一例として、10 倍~20 倍の VDI データ削減を実現しています。

構成の容易さと柔軟な拡張性

  • CVD による検証された確実な構成:
    お客様の用途やニーズに応じてスケーリングでき、スピーディな展開を可能にします。構成変更の制限が少ないのが特長です。
  • VDI と他のワークロードの混成:
    サイロになったストレージ群を性能影響がないように統合することが可能です。
  • シンプルな管理:
    SaaS で提供している管理ツール Pure1 を利用して、必要に応じた容量の追加や性能の強化ができます。管理もシンプルで、PC はもちろんのこと、タブレットやスマートフォンからいつでもモニタリングできます。

効率性と経済性の両立

  • 無停止で運用・アップグレード:
    ピュア・ストレージは、アップグレード時を含む 99.9999% の可用性を提供しています。計画的なダウンタイムなしで運用できるため、安心してご利用いただけます。
  • データ移⾏が不要:
    ストレージの永久保証プログラム Evergreen Storage は、購入したストレージを、3 年に一度のコントローラ交換を含むテクノロジーのアップグレードを継続しながら利用し続けていただくための保守プログラムです。リプレース、データ移⾏など、高コストな老朽化更新のサイクルを排除します。Evergreen の詳細は、前回の投稿で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
  • 電力、冷却、ケーブル、ラックスペースを節減

導入事例:日揮ホールディングス株式会社様

導入事例:日揮ホールディングス株式会社様

日揮ホールディングス株式会社様の利用事例をご紹介します。

日揮ホールディングス株式会社は、創業 90 余年の歴史を有し、現在は総合エンジニアリング、機能材製造、エネルギー・環境コンサルティング、テクノロジーなどの幅広い分野でビジネスを展開しています。中でも、石油プラントなどの大規模な設計、調達、建築を手掛ける日揮グローバル株式会社では、CAD 用クライアントの仮想デスクトップ化として、2013 年より VMware の Horizon を使用したエンジニアリング用仮想デスクトップ基盤(以下、eVDI)を提供していました。これにより、CAD 環境のセットアップ時間の大幅短縮や端末管理の負荷軽減といった多くの成果を達成しましたが、ビジネスの拡大に伴ってより高い性能が必要となり、eVDI を支えるインフラを刷新することになりました。

課題

  • 3D CAD の活用を積極的に推進し、3D データの大容量化が年々進んでいるため、eVDI の性能を強化したい。
  • 社内用の業務ストレージ群の統合と集約化が必要。

効果

ピュア・ストレージの FlashArray//X50 R2 の採用により、業務の効率化を実現しています。

  • 性能の大幅改善
    • 旧ストレージで 10~20 ms だったレスポンス時間が、1 ms 以下に短縮した。
    • 始業時のブート・ストームが解消した。
    • 大量の VDI イメージの展開が迅速化した。
    • ウイルス対策ソフトの定義ファイル更新などの重い処理がバック・グラウンドで走っている際にも、業務への影響が生じなくなった。
    • クライアント約 500 台分のスナップショットが一瞬で終了するようになった。
  • インライン重複排除機能により、データ容量を最大 1/18 に削減
    • ストレージ・リソースの有効活用に大きく貢献した。

おわりに

FlashStack の詳しい製品説明やご提案をご希望の場合は、担当の営業や SE、お付き合いのある販売パートナーにお知らせください。お問い合わせページからのご連絡もお待ちしております。

ピュア・ストレージでは、YouTube でピュア・ストレージ・ジャパン・チャンネルを開設しており、製品のデモや技術的な内容を含むコンテンツを公開しています。また、Web サイトの導入事例では、業界を問わず、日本国内の事例を広くご紹介しています。ぜひご覧ください。

また、今後の The Orange Ring Webinar の開催スケジュールとご参加(無料)のお申し込みは、こちらのページをご覧ください。

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