Pure Storage 裏話 ― 工場視察と本社品質会議レポート

日本のお客様やパートナー様からいただいたハードウェアの品質に関するフィードバックを品質部門や製造・組み立てサイトに伝え、方向性を確認することを目的に、2017 年 11 月下旬、米国テキサス州にある FlashArray や FlashBlade の組み立てを行なっている EMSの工場と、カリフォルニア州マウンテンビュー市にあるピュア・ストレージ本社を訪問しました。


日本のお客様やパートナー様からいただいたハードウェアの品質に関するフィードバックを品質部門や製造・組み立てサイトに伝え、方向性を確認することを目的に、2017 年 11 月下旬、米国テキサス州にある FlashArray や FlashBlade の組み立てを行なっている EMS(下記参照)の工場と、カリフォルニア州マウンテンビュー市にあるピュア・ストレージ本社を訪問しました。

  • Flex 社オースティン工場
    • FlashBlade のブレード製造工場視察
  • Foxconn 社ヒューストン工場
    • FlashArray、FlashBlade の DF(ダイレクトフルフィルメント)サイト視察
  • ピュア・ストレージ本社(マウンテンビュー)
    • 品質状況と現状の課題の確認
    • 今後の品質活動についての意見交換
  • Seagate/Xyratex 社(マウンテンビューと、メキシコのグアダラハラ間のWeb会議)
    • SSD 検査、シェルフ製造の現状と品質状況の確認
FlashArray、FlashBlade の組み立てサイト

EMS とは?

今回の訪問先の Flex 社および Foxconn 社は、EMS(Electronics Manufacturing Service)と呼ばれる、電子機器の受託生産サービスを行う企業です。EMS は、アップル社やソニー社といった世界的な大手電子機器メーカーにも採用されており、EMS 企業の中には一般の電子機器メーカーを凌ぐほどの巨大企業も出現しています。Foxconn 社は EMS の代表格で、台湾の鴻海精密工業の子会社です。

ピュア・ストレージも、Flex 社および Foxconn 社に一部の生産委託をしております。今回訪問した工場は、製造コストの最適化のため、メキシコ国境の近くに位置しています。英語が採用の条件ですが、メキシコ系の人材も積極的に採用されていました。

FA-m シリーズの組み立てプロセス

FA-m シリーズの組み立てプロセス

 

入荷部品のサンプリングによる品質チェックの後、2 ステップでの製造を行います。

バニラ

  • 拡張性の確認含め、フル構成の装置を組立て・検査(SSD、メモリ、拡張カード等)
  • 機能確認が完了したら、数十時間のバーンイン(耐熱試験など)

CTO(Configuration to Order)

  • 顧客からのオーダーに基づき、出荷製品を組立て・検査(CTO 検査)
  • 出荷用 Purity OS をインストール

工場視察で感じたこと

工場は広く、清潔感があり、照明も明るく、訪問時は米国の祝日「感謝祭(Thanksgiving Day)」の時期だったこともあり、従業員の方々もとても明るい雰囲気でした。

どちらの工場にも「KAIZEN」の標語が大きく貼り出されていたのが印象的でした。尋ねると、上からの命令で行動するのではなく、作業者が自分で知恵を出して変えていくために、2001年のドットコムバブルで危機に陥った時以来、生き残るために取り組んでいる活動だとのことでした。いかに「KAIZEN」したかのコンペティションも定期的に実施されているようです。

今回の製造工場視察により、製造の現状と課題(後述)についての理解を深めることができました。今後は、これらをパートナー様と共有し、パートナー様の受入検査にも反映していただけるような取り組みが行えればと考えております。

マウンテンビュー本社での品質会議

最後は、カリフォルニア州マウンテンビューにあるピュア・ストレージ本社を訪問し、品質・物流を管理するオペレーションチームと、品質状況と課題についての確認を行なってきました。

  • フィールド品質は概ね良好であることを双方で確認
  • 日本からのフィードバックの各項目についての品質チームの見解および改善策
  • メモリをはじめとする外部からの購入品の品質の維持・改善は検討課題
  • 品質チームは、工場常駐の品質エンジニアを配置、エンジニアリングチームもドキュメントライターを新規採用し、KB(knowledge base: 知識ベース)の充実化を計るなど、製造品質の改善に積極的に取組んでいることを確認
    • 製造規模の拡大に伴い、より迅速な対応を可能にするために工場常駐の品質エンジニアを強化中

品質関連部門と直接会話ができる会議は、製品品質の現状と今後の取り組みについての理解を深めるうえで有効であることが確認できました。また、各会議にはエンジニアリング部門 VP、製造、物流のディレクター含め総勢 13 名が出席し、日本のお客様・パートナー様からのフィードバックに対する関心の高さを非常に感じました。

このように、製造工場とピュア・ストレージが一体となって、お客様からのフィードバックをもとに製品品質の改善を図っております。ただ、SSD には寿命があるように、ピュア・ストレージの製品品質はハードウェアのみでは語ることはできません。Purity OS というソフトウェアや製品のアーキテクチャがハードウェアの障害・限界を補完し、エンタープライズ向けの信頼性を適切な価格で提供することを可能にしています。ソフトウェアやアーキテクチャーによる品質・信頼性についてのお話は、別の回でご紹介したいと考えております。

ドキュメントの整備をはじめ、まだ不十分な点もありますが、皆様からいただいたフィードバックを真摯に受け止め、本社との連携を図りながら、今後も品質の改善に努めてまいります。

ピュア・ストレージ本社にて品質関連のメンバーと