ピュア・ストレージ・ジャパン FlashBlade セールスリードの大浦です。
本日ご紹介する記事は、クラウド / DevOps 担当のソリューションマーケティングマネージャー Shilpi Srivastava (シルピ・スリバスタバ)による、「STaaS(Storage as a Service)としてのコンテナストレージ」です。先日発表した Pure Service Orchestrator のご紹介とともに、コンテナストレージへの取り組みをご案内いたします。
ピュア・ストレージはこのたび、Pure Service Orchestrator を発表しました。コンテナストレージを STaaS として提供することで、お客様のマイクロサービスアプリケーションのスケールアウトを支援します。パブリッククラウドの俊敏性をオンプレミスで実現し、開発部門の期待に応えます。
このブログでは、なぜコンテナの普及が爆発的に進んでいるのか、なぜコンテナの普及に永続ストレージが重要か、さらに、このアプリケーション実行環境を持つコンテナという最新鋭のアプローチがいかに重要かをご説明したいと思います。
まず、Pure Service Orchestrator の概要を解説した動画をご紹介します。
急速に変化するアプリケーション
ビジネスシーンのアプリケーションは、モノリシック、スケールアップから仮想化へと遷移し、さらにスケールアウト、マイクロサービス化へと急速に変化しています。これらの新しいアプリケーションは、通常、コンテナ上に構築されています。
なぜコンテナなのか
コンテナの強みはポータビリティです。アプリケーションのコードと、アプリケーションが依存するもの全てを、軽く、コンパクトで柔軟なランタイム環境に集約します。そして、ランタイム環境をインフラストラクチャから切り離します。この切り離しがポータビリティを可能にします。また、コンテナは軽量であることから、起動や実行が迅速で、スケーラビリティを促進します。さらに、より高いモジュール性の提供により、マイクロサービスに不可欠なビルディングブロックとなります。
コンテナの導入が急拡大しているのは、当然のことといえるでしょう。IDC は、2021 年までに、クラウドプラットフォームでのアプリケーション開発の 80 %がマイクロサービスとクラウド機能を利用するようになり、新たなマイクロサービスの 95 %以上がコンテナとして展開されると予測しています。
コンテナは当初、主に開発 / テスト、Web サービス、データパイプライン、ステートレスアプリケーションにおいて導入されていました。しかし、永続ストレージのサポート不足が、ミッションクリティカルな永続アプリケーションのコンテナ展開の妨げになっています。
ピュア・ストレージによる STaaS としてのコンテナストレージ
2017 年に、我々の New Stack チームが、Docker、Kubernetes、FlexVolume Driver などのプラグインを介して、コンテナプラットフォームとオーケストレーションエンジンとのシームレスな統合を可能にするソリューションを構築しました。これにより、コンテナ環境での永続ストレージの利用が可能になりました。
しかし、これは単に始まりに過ぎませんでした。
私たちはほどなく、デバイスプラグインだけでは、お客様の期待するクラウドエクスペリエンスを提供できないことに気づきました。コンテナ環境の流動的な性質により、このギャップは拡大します。ステートレスコンテナは、スピンアップした後スピンダウンが瞬時に行われます。一方、ステートフルコンテナは、長い間使用されます。コンテナによっては、ブロックストレージを必要とする場合と、ファイルストレージを必要とする場合があります。さらに、お客様のコンテナ環境は、数千コンテナの規模にまで拡張し、単一ストレージの限界を押し上げます。そんなダイナミックな環境下で、ストレージのプロビジョニングとスケーリングをどのように扱いますか?
コンテナアプリケーション環境に、真の STaaS のエクスペリエンスを提供できたら、すばらしいと思いませんか?
私たちは、シームレスな STaaS としてのコンテナストレージは次のようであるべきだと考えました。
- シンプル、自動、統合: ストレージをポリシーによりオンデマンドで自動展開し、コンテナオーケストレーションのフレームワークにシームレスに統合することで、お客様(開発部門)にとって使い勝手のよいストレージを提供する。
- 柔軟: 小規模から大規模まで、コンテナ環境の拡張に応じてさまざまな構成を簡単かつ柔軟に組み合わせられるストレージ環境を提供する。
- マルチプロトコル: ファイル、ブロック、オブジェクトをサポートする。
- エンタープライズグレード: コンテナ環境のステートフルアプリケーションに対し、ミッションクリティカルなアプリケーションが必要とする ティア 1 レベルの耐障害性、信頼性、保護機能を提供する。
- 共有型ストレージ: 次世代のコンテナ型データセンターには、優れたユーザーエクスペリエンスを提供する共有型ストレージが DAS ストレージに代わる実用的な選択肢となる。
Pure Service Orchestrator の概要
Pure Service Orchestrator は、パブリッククラウドと同レベルのエクスペリエンスを開発者に提供するように設計されています。Service Orchestrator は、コンテナオーケストレーションのフレームワーク「Kubernetes」とシームレスに統合します。このコントロールプレーンの仮想化レイヤーの機能は、ユーザーにとって、ストレージはデバイスではなく、サービスとなります。
Pure Service Orchestrator は次のような特長を持っています。
スマートポリシーによるプロビジョニング
Pure Service Orchestrator は、ポリシーを介してオンデマンドなストレージを提供します。パフォーマンス負荷、容量の使用率、ストレージシステムの健全性などの複数要因をリアルタイムに評価することによって、それぞれのストレージに対して最適なプロビジョニングを決定します。ピュア・ストレージのシンプルなストレージを基盤とするため、コンテナ管理者を複雑な Pod 作成から開放します。Service Orchestrator への通常のリクエストは、ストレージサイズを設定するのと同じくらいシンプルです。むしろ、サイズの設定すら必須ではありません。Service Orchestrator が代わりに指定してくれます。
柔軟なスケーリング
Pure Service Orchestrator は、コンテナストレージを複数の FlashArray、FlashBlade™、あるいは両方を組み合わせた環境に拡張します。ファイルとブロックを同時にサポートし、各ストレージの柔軟な構成を可能にします。小規模なストレージから大規模なストレージまで、コンテナ環境の成長に合わせたシームレスかつ迅速なストレージサービスの拡張が、1 つのコマンドで簡単に実現します。
透過的なリカバリ
Pure Service Orchestrator は、自己修復による安定したサービスを提供します。1 つのストレージボリュームを必ず 1 つの永続ボリューム要求にバインドさせることで、偶発的なデータ破損を防止します。例えば、Kubernetes マスターが同じボリュームを別の Kubernetes ノードに接続することを要求したとします。すると、Service Orchestrator は、まず、オリジナルの Kubernetes ノードからそのボリュームを切り離し、新しい Kubernetes ノードにそのボリュームを接続します。この動作により、Kubernetes クラスタの「スプリットブレイン」―(Kubernetes マスターとノードが通信の切断により非同期となる)が発生した際に、同一ストレージボリュームへの同時 I/O を回避し、データの破損を防ぎます。
Pure Service Orchestrator の機能の概要をご理解いただけましたでしょうか。デモの動画をご覧ください。
コンテナから PaaS(Platform as a Service)へ
お客様の多くは、サービスとしてのコンテナをさらに進化させた PaaS を必要としています。私たちは、そのニーズにもお応えします。All-flash Platform-as-a-Service(英文ブログ記事)で、Red Hat OpenShift コンテナプラットフォーム使ったオールフラッシュ、オンプレミスの PaaS のリファレンスアーキテクチャをご紹介しています。
ユーザーエクスペリエンスと消費モデル
ピュア・ストレージは、クラウドのアーキテクチャだけでなく、クラウドの消費モデルも取り入れています。この領域についても、うれしい発表があります。詳しくは ES2 – Evergreen Storage Service(英文ブログ記事)をご参照ください。
これは始まりに過ぎません
Pure Service Orchestrator は、始めの一歩を踏み出したところです。ワールドクラスのスタックチームが、2018 年後半の Service Orchestrator 初期リリースを皮切りに、革新的な新機能を提供し続けていきます。楽しみなのはこれからです。
まとめ
コンテナストレージを STaaS、さらには PaaS として提供できるようになりました。既存のインフラストラクチャを、スケールアップ、仮想化から、「共有型高速ストレージ(Shared Accelerated Storage)」を基盤とするインフラストラクチャへと拡張することで、コンテナ上の永続アプリケーションをサポートすることができます。これがデータセントリックアーキテクチャのパワーです。
Pure//Accelerate 2018 での発表内容については、Data Centric Architecture Powers Digital Business(英文ブログ記事)をご参照ください。
[1] IDC FutureScape: Worldwide IT Industry 2018 Predictions
大浦からのコメント
日本でもコンテナ技術の利用は進んできており、その中でも、コンテナ環境における永続ストレージへの取り組みは、多くの方の課題となっていると認識しています。ピュア・ストレージは、今後もこの分野にコミットし、新機能を提供していく予定です。
また、スケールアウトの取り組みが一定レベルを超えると、運用負荷が新たな課題となります。ピュア・ストレージのデータハブ製品である FlashBlade を Pure Service Orchestrator 配下でインテグレーションすることにより、サイロ化したデータストレージを統合し、コンテナ利用のお客様に高パフォーマンスな永続ストレージ環境をお届けします。
さらに、クラウド型課金モデルでのストレージサービス(ES2 – Evergreen Storage Service)についても紹介がありました。詳細や、機器を含めた検証などにご興味のある方は、営業窓口までお問い合わせください。