今回は、2022年1月20日にリリースされた PX-Backup 2.1 をご紹介します。
本ブログの一部には、Portworx テクニカル・マーケティング・マネージャーのライアン・ウォルナー(Ryan Wallner)による記事をもとに、わたくし溝口が日本語化および再構成した内容が含まれています。
エンタープライズにおけるバックアップでは、重要なデータをリストアする際のリスクを完全に排除しなければなりません。クラウド、ハイブリッド、オンプレミスといったあらゆる環境において、 Kubernetes データのリストアに最も適した手段の選択を可能にする柔軟性が求められます。 PX-Backup 2.1 では、マルチクラウド環境で活用できる 3 つの機能が追加されました。
- クラウド間のアプリケーションのポータビリティ:
クラウド間でのブロック・ボリューム、ファイル・ボリュームのバックアップを可能にすることで、あらゆるデータセンター間におけるアプリケーションのポータビリティを実現しています。Portworx Enterprise 使用の有無に関わらず、オンプレミス、ハイブリッドなど、任意のデータセンターやクラウドの Kubernetes 環境間で、あらゆるステートフルなアプリケーションのバックアップ/リストア、移行が可能です。
- NFS ボリュームのバックアップとリカバリ:
ブロックベースのワークロードをバックアップする既存の機能に加えて、FlashBlade、Portworx のプロキシ・ボリューム、NFS サーバーからファイル共有としてプロビジョニングされた RWX(Read-Write-Many)永続ボリューム(パーシステント・ボリューム)上で動作するアプリケーションのバックアップ、リカバリができるようになりました。
- バックアップの「3-2-1 ルール」によるコンプライアンスの向上:
バックアップの 3-2-1 ルールは、さまざまな障害シナリオからのリカバリを保証するためのルールであり、データ保護の業界標準です。PX-Backup 2.1 では、CSI スナップショットからオブジェクト・ストレージへのバックアップ機能を追加しました。これにより、Portworx PX-Store、CSI 準拠のストレージ・サービス、あるいは、クラウドベースのストレージ上で Kubernetes アプリケーションを実行している場合に、ローカル・ストレージとオブジェクト・ストレージの両方で 3 つのデータのコピー(本番、スナップショット、バックアップ)を保持できるようになりました。
米国および英国の IT プロフェッショナル 500 名を対象に実施した調査*によれば、Kubernetes を扱う IT 担当者の約 55% が、Kubernetes 上でステートフルなアプリケーションを動作させる際の最重要課題はバックアップとリストアであると回答しています。導入するツールが、Kubernetes のバックアップにおいて優れたスケーラビリティと柔軟性を提供すること、Kubernetes 向けに構築されていることは、包括的なデータ保護戦略において重要です。
*本調査は、従業員 500 名以上の米国または英国の企業においてフルタイムで雇用されている IT プロフェッショナル 500 名(米英各 250 人)を対象に、Wakefield Research 社が実施したものです。調査対象者はそれぞれ、「自社の Kubernetes の使用について十分な知識を持ち、調査時点で Kubernetes 上でステートフルなアプリケーションを稼働させている」と自己申告しています。
PX-Backup 2.1 のリリース内容をもう少し掘り下げてみましょう。
クラウド間バックアップのポータビリティ
Kubernetes を運用する企業にとって、データ保護は重要です。したがって、Kubernetes 環境間でのアプリケーションの移植性確保も同様に重要な要件となります。ステートフルまたはステートレスのアプリケーションのバックアップをクラウド・ストレージにオフロードすることで保護機能が強化されますが、PX-Backup 2.1 ではさらに、ステートフルか否かに関わらず、クラウドや Kubernetes のバージョンを超えてリストアできるようになりました。
PX-Backup 2.1 では、Portworx 以外のボリューム(Read-Write-Many または Read-Write-Only)をバックアップし、同タイプのストアを持たない他のクラウドや Kubernetes 環境にリストアすることができます。すなわち、Portworx 以外のソース・ボリュームから Portworx ボリュームへのリストアが可能です。
注:このシナリオのバックアップ・ソース・ボリュームは、CSI スナップショットをサポートする StorageClass となります。
ここで、PX-Backup でアプリケーションとデータのポータブル・バックアップを取るための手順をご説明します。
- PX-Backup バージョン 2.1 以降を Kubernetes 環境にインストールする。
- PX-Backup インスタンスに Kubernetes クラスタを追加し、クラウド・クレデンシャルを設定する。
PX-Backup 2.1 では、ワークフローにバックアップ・インテリジェンスが組み込まれているため、既存のバックアップ・ワークフローを直接変更せずにバックエンド間のポータブル・バックアップを作成できます。
- バックアップのダイアログで、バックアップする名前空間とリソースを選択し、Offload CSI snapshots to backup location を選択して Create をクリックする。
- リストア先のストレージ・タイプを選択する。
これで、永続ボリュームを、新しい永続ストレージ・バックエンドを備えたリストア先にリストアできます。
NFS 共有ファイルのバックアップをサポート
PX-Backup では、Kubernetes 上で稼働するアプリケーションのデータのバックアップでは、Portworx スナップショットやクラスタ・ローカルの CSI スナップショットによるボリューム・スナップショットを利用した、ブロック・ボリューム・レベルでのフルバックアップおよび増分バックアップをサポートしてきました。PX-Backup 2.1 ではさらに、FlashBlade、Portworx のプロキシ・ボリューム、NFS サーバーなどのファイル・システムを対象に、ファイル・システム・レベルでのバックアップも可能にしています。
この新しいユースケースを利用するために、ユーザーがバックアップ・ワークフローを変更する必要はありません。ピュア・ストレージの FlashBlade ボリューム、Portworx のプロキシ・ボリューム、その他の NFS サーバーベースのファイル共有システムのバックアップ手順はシンプルです。バックアップのダイアログ(下図)で次のような操作を行います。
- バックアップする名前空間とリソースを選択する。
- Create をクリックする。
PX-Backup は、永続ボリュームのストレージ・タイプを検出し、必要に応じてファイル・システム・レベルのバックアップを作成します。
上記の手順を実行することで、ファイル・システムがバックアップ先にバックアップされます。
バックアップの「3-2-1 ルール」によるコンプライアンスの向上
「必要なときにデータが利用できない」というトラブルは、多大な損失につながります。Forbes.com の 2021年10月5日付け記事「Facebook Lost About $65 Million During Hours-Long Outage(Facebook、数時間の停電で約 6,500万ドルの損失)」は、損失の大きさを示す一例です。
バックアップの「黄金律」とも称されるバックアップの「3-2-1 ルール」は、重要なデータの保護を念頭に、次のようにバックアップを持つことを意味しています。
- データのコピーを 3 個
- 本番データのコピー
- スナップショット・コピー
- オフサイト・コピー
- 記録メディアは異なる 2 種類
- ローカルの Kubernetes ストレージ
- オブジェクト・ストレージ
- 長期保存用のコピーを 1 個
- オフサイトのフォールト・ドメインに保存するコピー
PX-Backup は、Kubernetes アプリケーションのための 3-2-1 ルールの維持を容易にします。PX-Backup では、アプリケーションに関連する名前空間、リソース、PVC のバックアップを取るだけで、3-2-1 のワークフローを作成できます。Portworx や、その他の CSI 準拠のバックエンドを使用しているかどうかに関わらず、PX-Backup は、データのローカル・スナップショットを取り、それをクラウドにオフロードします。これにより、本番環境、スナップショット、オフサイトの 3 つのデータコピー、2 つのメディアに保存された 2 つのバックアップ、オフサイトのオブジェクト・ストレージに保存された 1 つのコピーを確実に保持できます。
PX-Backup 2.1 のデモ動画をご紹介します。こちらもあわせて是非ご覧ください。
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