今さら聞けないフラッシュって?― SSD の懸念点に対するピュアの解決策

前回は、エンタープライズ向けストレージで、フラッシュを利用する際の一般的な懸念点に触れました。今回は、それらの懸念点に対するピュア・ストレージの解決策をご紹介します。

コンシューマ向け SSD を選択したピュア・ストレージのアプローチ

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前回の「今さら聞けないフラッシュって?― 第 2 回」では、エンタープライズ向けストレージで、フラッシュを利用する際の一般的な懸念点に触れました。今回は、それらの懸念点に対するピュア・ストレージの解決策をご紹介します。

ピュア・ストレージは 2009 年の創業当時から、書き込み寿命が長いエンタープライズ向け SSD(例:SLC、eMLC)と比較して、GB 単価が安価なコンシューマ向けの SSD(例:cMLC、TLC)を選択してきました。

創業当時、コンシューマ向け SSD をエンタープライズ向けストレージで使うのは、非常にリスクの高いことでした。その対策として、ピュア・ストレージでは、フラッシュメモリの信頼性をソフトウェアで管理しています。これにより、コンシューマグレードの SSD をエンタープライズグレードに引き上げました。

コンシューマ向け SSD でのピュア・ストレージのアプローチ
図 1:コンシューマ向け SSD でのピュア・ストレージのアプローチ

書き換え寿命があり、書き込み処理が苦手といわれる SSD の信頼性を、ピュア・ストレージはどのようにしてエンタープライズグレードにまで引き上げたのでしょうか?

それは、以下のような技術によって実現されています。

ピュア・ストレージの解決策

1. FlashCare ー世代ごとの NAND の特性をソフトウェア側で吸収

前回の「今さら聞けないフラッシュって?― 第 2 回」で、ストレージコントローラからの書き込みサイズ(例:4 KB)のブロックサイズと、 NAND のブロックサイズ(例:1 MB)の差が与える影響について触れました。この差は、非効率な書き込みの原因となり、性能や書き込み寿命に大きな影響を及ぼします。NAND のブロックサイズは、各 SSD ベンダー、世代ごとに異なります。また、これまで HDD 向けのストレージ OS で管理していたブロックサイズとも大幅に異なります。

ピュア・ストレージの FlashCare は、世代ごとの NAND に対して最適なブロックサイズで書き込み(内部のデータ移動を極小化)を行います。これにより、SSD の寿命を最大化します。

NAND の特性をソフトウェア側で吸収
図 2:NAND の特性をソフトウェア側で吸収

以下の図 3 のように SSD を使っても、搭載するストレージの書き込みアーキテクチャによって、耐用年数は大きく変化します。

WAF(Write Amplification Factor)を低減
図 3:WAF(Write Amplification Factor)を低減

ピュア・ストレージでは、将来の NAND 大容量化に合わせて、最適な書き込みサイズをソフトウェアで定義できます。効率的な書き込みを行い、SSD の長寿命化、世代間の混在を可能にします。

NAND のブロックサイズ
図 4:NAND のブロックサイズ

2. 優れた重複排除と高い圧縮率

削減率の高い重複排除と圧縮によるインラインの書き込みは、ピュア・ストレージの特長の 1 つです。書き込み量を大幅に減らし、SSD の長寿命化に大きなメリットをもたらします。

重複排除と圧縮
図 5:重複排除と圧縮

3. SSD をグローバルに管理

一般的なオールフラッシュストレージは SSD にかかる負荷が大きく、SSD コントローラ単体での処理に限界があります。ピュア・ストレージでは、Purity と呼ばれるソフトウェアが SSD の機能を一部肩代わりすることで、SSD 単体の性能問題を解決しました。

さらに、SSD をグローバルに管理することで複数の SSD をまとめ、書き込み回数の平準化やガベージコレクションを実施します。これにより、SSD 単体で定義されている性能や寿命を高めることを可能にしました。

ピュア・ストレージは SSD コントローラの負荷を低減
図 6:ピュア・ストレージは SSD コントローラの負荷を低減

大まかに言うと、通常のストレージシステムでは、データにパリティを付与し、それぞれの SSD に対して決められたサイズのデータの書き込み指示を出します。しかし、SSD 側では、データの整理や平準化、ビットエラーなどの対応を別に行っています。このときにストレージコントローラからの書き込み指示があると、I/O 処理がバッティングし、レスポンスが悪くなります。

ピュア・ストレージの場合、SSD への各種指示もストレージコントローラ側のソフトウェアで実行します。SSD 側で I/O 処理を行う際は、上位からの I/O を別の SSD に流すといった柔軟な対応ができるため、性能低下のない運用が可能です。

以上のように、ピュア・ストレージでは、独自のソフトウェア技術により、SSD のコストを抑えながら、書き換え寿命があり、書き込み処理が苦手、という懸念点を解決しました。ピュア・ストレージは、SSD に優しいストレージを提供しています。

 

シリーズ「今さら聞けないフラッシュって?」

第 1 回― 今さら聞けないフラッシュって?
第 2 回― エンタープライズ向けにフラッシュを利用する際の懸念事項