まずは、Portworx が提供するコンテナ・ストレージのスケーリング自動化機能であり、クラウド・ストレージのコストを大幅に削減し、GitOps とも連携可能な PX-Autopilot をご紹介します。なお、本ブログの一部は、Portworx で製品マネージメントを担当していたプラシャント・ラティ(Prashant Rathi)による記事をもとに、わたくし溝口が日本語化および加筆、再構成したものです。

ストレージ管理の自動化とクラウド・ストレージのコスト削減を可能にする「PX-Autopilot」

Portworx をご利用のお客様の大多数は、コンテナ・オーケストレーションに Kubernetes、ストレージ・オーケストレーションに Portworx を使用してサービス・モデルを構築されており、自動化による優れた俊敏性を既に獲得されています。しかし、これらのプラットフォームの本当の意味でのセルフ・サービス化においては、インフラストラクチャのスケーリングという観点で、依然としていくつかの課題があります。Kubernetes と Portworx はアプリケーションのデプロイと運用を自動化できますが、これらのアプリケーションが稼働するインフラストラクチャは、それ自体でプロビジョニングおよびスケーリングを行う必要があります。

さらに、DevOps と共有サービスを担当する IT チームは、コスト/利益分析、コスト削減の強化、支出の予測を可能にするために課金方式の実装を担っています。パブリック・クラウド・インフラストラクチャへの移行に伴い、最終的にオンプレミスよりもクラウドの支払い額が高くなってしまうケースが多く、コスト管理はますます重大な懸念事項になっています。

Portworx の PX-Autopilot for Capacity Management は、クラウド・ストレージのコストを半分に削減しながらストレージ・インフラストラクチャの自動化運用を可能にすることで、これらの問題に正面から取り組んでいます。

PX-Autopilot for Capacity Management の概要

PX-Autopilot for Capacity Management(以下、PX-Autopilot)を使用すると、ボリュームのサイズ変更といった特定のアプリケーション・レベルと、ストレージ・プールのサイズ変更といったインフラ全体レベルの両方で、ストレージ・サービスのスケーリングを自動化できます。これは、全てのオンプレミスとクラウドにわたって、エンタープライズ・グレードのセルフ・サービス Kubernetes データ・プラットフォームを構築可能にするという我々のビジョンを推進する重要なマイルストーンです。

Portworx がこれに取り組み始めた当初の目標は、Kubernetes 向け IaaS ストレージの管理を自動化し、不要な手順を減らすというシンプルなものでした。

PX-Autopilot を使用することで、ユーザーは容量が不足し始める前にボリューム・サイズを自動的に拡張できます。PX-Autopilot は、Prometheus などの既存の監視ソリューションを活用してクラスタ内のメトリックを監視し、使用率の高い状態を検知します。しきい値に達すると、PX-Autopilot はカスタマイズ可能なルールに従ってボリュームのサイズを変更するよう Kubernetes に指示します。これらのルールは非常に理解しやすく、柔軟に実装できます。

クラスタがスケールするにつれて、インフラの制限により、これ以上ボリュームを拡張できなくなることがあります。このような場合に、PX-Autopilot は、パブリック・クラウドの柔軟性を活かしてオンデマンドでクラウド・ドライブを追加することで、ストレージ・プールのサイズを自動変更します。ここでは、ユーザーは最小サイズと最大サイズを指定するだけでよく、PX-Autopilot のルールは使用量の増加に応じてストレージ・プールを自動的にスケーリングします。プールのサイズ変更は現在、Amazon EBS、Google Persistent Disk、Microsoft Azure および vSphere ボリュームで利用可能です。

PX-Autopilot によるストレージ・プールのリサイズ

PX-Autopilot によるストレージ・プールのリサイズ

PX-Autopilot によるクラウド・コストの削減

PX-Autopilot は、ストレージ・クラスタのスケーリング作業に要する時間の削減(最大約 20 時間削減)に加え、クラウドでストレージをオンデマンドで自動的に拡張することにより、お客様のコストを大幅に削減します。

Kubernetes はアプリケーションのデプロイを自動化しますが、プラットフォーム全体では、基盤となるインフラストラクチャを自動化し、アプリケーションのスケーリングに十分なコンピューティングとストレージを利用可能にする必要もあります。クラウドでは従量制モデルが提供されていますが、実際には、ブロック・ストレージをオーバー・プロビジョニング(多くの場合  2〜3倍)し、Kubernetes で実行するデータ・サービスのストレージの容量拡張を手動で管理しなければなりません。これは、使用しない分のストレージの料金を支払うことを意味します。

PX-Autopilot を使用すると、ストレージ容量が不足していることを自動的に検知し、必要な場合にのみプロビジョニングを増やすことで、ストレージ料金を約半分に削減できます。

ここで、PX-Autopilot を使ってパブリック・クラウド・ストレージの制限を自動的に拡張する方法を経験されたお客様の事例をご紹介します。Portworx Enterprise をシン・プロビジョニングされたストレージ・レイヤーとして使用することで、お客様はクラウド・ストレージをオーバー・プロビジョニングする必要がなくなりました。PX-Autopilot の新機能により、プラットフォームが自動で拡張し、ビジネス・ニーズの拡大にリアルタイムに対応できるようになっています。

ここで、具体的な例を考えてみましょう。AWS のようなパブリック・クラウドでクラウド・ネイティブ・アプリケーションを実行する例で、前提は次のとおりです。

  • アプリケーションのニーズとしては、gp2 ボリュームを備えた高効率な SSD ドライブを使用し、10,000 IOPS が必要。
  • このようなアプリケーションが 10 個あり、アプリケーションごとに最大 1 TB の容量が必要。

Portworx Enterprise を使用しない場合:

アプリケーションに必要な IOPS を取得するには 10 個の 3.33 TB の EBS ボリュームをプロビジョニングしなければなりません。EBS は、ストレージ 1 GB あたりの性能基準が約 3 IOPS であることから、ボリュームあたり最大 10,000 IOPS を提供するには、1 TB しかない場合でも 3.33 TB のボリュームが必要となるためです。

Portworx Enterprise を使用する場合:

EBS ボリュームの最小サイズである 10 TB から始めて、管理対象全体のプールから 10 個のアプリケーションに対して個々に 1 TB のボリュームを割り当てることができます。10 個のアプリケーションで同時に最大性能が必要になることは考えにくく、ストレージ性能の効率的な利用が可能になります。PX-Autopilot では、需要の変化に応じてボリュームを徐々に拡張できるため、年間のストレージ・コストを最大 54% 削減できる計算になります。

PX-Autopilot - クラウド・ストレージ・コストを半分に削減

クラウド・ストレージ・コストを半分に削減

また、Portworx を使用してボリュームを低コスト・クラスのクラウド・ストレージに階層化、あるいは、スナップショットを利用して S3 互換のストレージにアーカイブすることで、さらなるコスト削減が可能です。上記の例で、Portworx のセカンダリ層として st1-HDD を使用してアプリケーションのクラスをスケジュールし、それをストレージ利用の 50% に活用すると、63% のコスト削減になります。 同様に、GB 単位の容量で課金が発生する EBS スナップショットを使用する代わりに、Portworx のスナップショット機能(無料)を使用して、例えば 10 TBのデータを S3 にスナップショットすることにした場合は、64% の削減になります。

  • EBS スナップショットのコスト = EBS スナップショット・オプション(5円/GB × 10 TB)= 50,000円
  • Portworx のコスト = S3 標準(1.25円/GB × 10 TB)= 12,500円
シナリオ Amazon EBS コスト Portworx 利用時のコスト コスト削減
Portworx による削減 4,095,600 円 1,882,000 円 2,213,600 円(54%)
+ 階層化 4,095,600 円 1,487,800 円 2,607,800 円(63%)
+ スナップショット 4,145,600 円 1,500,300 円 2,645,300 円(64%)

※上記のコストは 2021年8月30日現在のものです。
※為替レートを単純に US$1=100円として計算しています。
※スナップショットは 10 TBで試算しましたが、初回以降は差分のみの容量となります。

注:上記は特定のシナリオに基づいた概算です。実際の数値は、ボリューム数、ホスト数、マウント・ストレージ数、スナップショット数といったさまざまな要素によって変わります。

ユースケース

PX-Autopilot をご利用いただいているお客様のユースケースをいくつかご紹介します。

ユースケース 1:大手製薬会社様

背景:
マルチクラウド環境で大規模ミッション・クリティカルなアプリケーションを運用していた。

課題:
コンピューティングのリソースは常時上下変動する一方で、ストレージのリソースはリニアに増大する。アプリケーションごとにアサインするボリューム数も増大し、人手による管理が多大な負荷となっていた。

ソリューション:
PX-Autopilot を導入し、Prometheus から上がってくるメトリクスをもとルールを定義。しきい値に達すると、管理者の承認のもと、GitOps と連携してストレージをリサイズ。GitOps を利用した承認プロセスを挟むことで、容量の自動的な増大を防ぎ、パブリック・クラウドの API と連動して自動スケールする。

PX-Autopilot - 運用上の負担を軽減

PX-Autopilot – 運用上の負担を軽減

成果:
運用上の負担を大幅に軽減し、最適なストレージ容量を維持することで、ストレージ・コストが低減した。

ユースケース 2:アウレア(Aurea)社様

背景:
テキサス州オースチンに本社を置く大手複合企業 ESW キャピタル傘下のソフトウェア企業であるアウレア(Aurea)社は、同傘下の 80 社に及ぶ内部顧客を対象に、Kubernetes のサービスを一元的に提供している。

課題:

  • SaaS ベンダー 80 社分のデータベース・ワークロードの処理が可能な、単一のマルチテナント Kubernetes プラットフォームの構築。
  • Ceph[注1]、GlusterFS などの従来のソフトウェア定義のストレージ・システムでは不可能な、Kubernetes の統合とスケーラビリティの実現 。
  • EBS を使用する場合には、EC2 のインスタンスあたり最大 40 ボリュームまでの制限がある。それ以上のボリュームをつなげるためには、新たなインスタンスを起動する必要があり、コストが増大する。

[注1]Ceph は、ブロック・デバイスをときおり作成し、データの保存だけの目的で使用するのであれば、優れたストレージ・ソリューションとなり得る。しかし、コンテナ実行中に、例えば 1 つのアプリケーションのスケーリングのために新しいボリュームを 1 秒ごとに作成し、同時に別のアプリケーションをスケールダウンするために大量のボリュームを削除するようなケースでは、Ceph は極めて遅くなる。また、Red Hat は、EBS 上での Ceph の実行を推奨していない(Ceph on Ceph:Ceph の上で Ceph を実行することになり、問題が生じるという理由から)。

ソリューション:
Portworx を導入してコンテナから見えているボリュームから物理ストレージを分離することで、EBS ボリューム数 40 という制限を取り除き、EC2 のインスタンスあたり実行可能なコンテナ・ボリューム数を 200 にまで拡大した。また、PoC を実施した結果、Portworx が最も低価格であるという評価をいただいた。

Portworx ユースケース:Aurea 社

Portworx ユースケース:Aurea 社

成果:

  • Kubernetes と Portworx による高密度効果で、コンピューティング・コストが 60~90% 低減した(VM あたり 100 ポッドが推奨されているが、 200~300 のステートフル・ポッドを実行)。
  • 80 件の多様な SaaS アプリケーションを単一の Kubernetes プラットフォームでサポートすることが可能になり、運用・開発コストが 5 分の 1 に低減した。

本導入事例の詳細(日本語版)は、こちらからダウンロードしていただけます。

最後に、ピュア・ストレージのパートナーであるピボタル(Pivotal、現 VMware)社様によるコメントをご紹介します。

ミッション・クリティカルなアプリケーションを Pivotal Container Service “PKS” に移行するお客様が増えています。お客様のニーズを満たすため、我々のエコシステムは進化し続けなければなりません。Portworx が PX-Autopilot の機能をますます充実させ、PKS のお客様がストレージ容量をダウンタイムなしで動的に拡張できるようになることをとてもうれしく思います。

Pivotal グローバル・アライアンス ゼネラル・マネージャー
Angus MacDonald 氏

Pivotal ロゴ

PX-Autopilot は Portworx 製品の中でも比較的新しく、今後もさらに機能拡張が計画されています。ここでご紹介した内容は、クラウド・ネイティブ・ストレージを真に自動化し、マルチ・テナント as-a-Service プラットフォームの付加価値として手頃な価格でご提供するという PX-Autopilot のミッションのほんの一部に過ぎません。

PX-Autopilot のデモを YouTube で公開しています。こちらもぜひご覧ください!


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