企業について考えるとき、ロゴや広告、CM など、視覚的なイメージがまず思い浮かびます。しかし、データやコンテナ、クラウドのような無形のものを、どうすれば視覚化できるでしょうか?心に残るものにするには、どうすればよいでしょうか?
ピュア・ストレージのクリエイティブ・ディレクターであるエリック・チャオ(Eric Chao)とデザイン・チームは、この課題に日々挑戦しています。その際に重視しているのが、「ユーザー」、「シンプルさ」、そしてもちろん「データ」です。
ピュアに至るまでの道のり
エリックは広告業界出身で、かつてはペプシや Hotels.com といった大規模な消費者ブランドを顧客としていました。その後、ダンキンドーナツやリバティ・ミューチュアルなどのブランドを顧客に、放送広告の世界でも活躍しました。その豊富な経験が、エリックのスタイルである大胆なビジュアル、人間の存在の明示、ストーリーテラーの視点に現れています。
上の 2 枚の画像は、ピュアのキャンペーン用にエリックがデザインしたものです。
エリックは、サンフランシスコ・ベイエリアに移住してテクノロジー業界でのキャリアを開始し、これまでに Cisco、NetApp、Comcast のプロダクト・デザインに携わりました。ピュア入社以降は、ブランディングの刷新や、注目度の高い数々のキャンペーン(メルセデス F1、サステナビリティと ESG、DX)で中心的役割を担っています。
データによる、データのためのデザイン
プロダクト・デザインに携わるなかで、エリックは、オンサイト・フォーカス・グループ、マジックミラーといったユーザー・テストの手法や事例に出会いました。そして、テスト結果をデザイン上の意思決定に活用することで、データからの知見がアートにも役立つことを知ります。
「テストによって、ものごとをより深く見通すことができます。未来を予測して、変える能力を得るといってもいいかもしれません。」(エリック談)
デザイン・チームは、ピュアの Web 開発者や UX 開発者と協力して、評価と微調整を繰り返しつつデザインを進めています。現在エリックは、まさにデータを使ってデザインしています。しかし、抽象的なもののデザインには、知見よりも直観力が重要だとエリックは言います。
「私たちは、ブランドとして何を語るべきかについて日々議論しています。語るべきは、コンテナやクラウドの物理的な実体ではなく本質です。例えば、クラウドについて語るなら柔軟性であり、物理的な構成ではありません。コンテナならスピードと効率性です。それらをどう伝えるかが次の課題となります。」
いかにシンプルに、ユーザー・ファーストのアプローチで伝えるかが重要な課題となります。
キャッチコピーか哲学か
エリック率いるデザイン・チームは、ピュアの多くのエンジニアの努力の結晶であるテクノロジーが、世界にどのようなインパクトを及ぼすものであるかを伝える役割を担っています。「データ・ストレージをいつまでもシンプルにというメッセージは重要な意味を持ちます。シンプルに、ピュアに。それが私たちの優位性です。会社名自体が既にメッセージになっています。」
しかし、ノイズを遮断してユーザー・ファーストを貫くのは容易なことではありません。「ときには基本に戻る必要があります。シンプルさはピュアの哲学であるだけでなく、デザイン・チームの原則でもあります。しかし、実践は容易ではありません。私たちは、シンプルなものから始めて、徐々に要素を戻し入れるという手法を使っています。」
エリックは、仕事外では、本格的なサイクリングから、野生生物や自然の写真撮影へと趣味をシフトしました。このことは、エリックにとって、ペースを落として自然や周囲の波長にあわせる術を学ぶよい機会となっています。「写真撮影では、必ず立ち止まって周囲を観察します。忍耐力が必要です。」
エリックの撮影による野生生物の写真です。
このような忍耐力は、デザインの仕事に通じるところがあるとエリックは考えています。ピュアは最近創業 13 周年を迎えましたが、デザイン・チームは、この時期を極めて重要な時期だと捉えています。
「ナイキやソニーのようなブランドを構築するには、長い時間がかかります。忍耐力が必要です。でも、私たちは有利な立場にいます。企業としてはまだ若く、名前もいまだによく知られていません。これからブランド・イメージを築いていくという可能性があります。」
ピュアの世界中のチームと同様に、デザイン・チームも強力なメッセージの伝達方法を見出しています。「企業は収益だけではありません。人々の生活を変えるものを提供できるかどうかです。製品を見ればわかります。心から応援したいと思っています。ピュアの製品が世界をどう変えるかを考えると、ワクワクします。」
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