ピュア・ストレージ・ジャパン FlashBlade セールスリードの大浦です。
今回ご紹介する記事は、AI 市場におけるキャズムについて取り上げた、「キャズムを越えてー AI をビジョンからビジネスへ」です。執筆者の Ramnath Sai Sagar(ラムナス・サイ・サガー)は、製品マーケティング部門で AI と深層学習のソリューションを担当しています。
近年のグーグルの動向を見ていると、彼らが人工知能(AI)に注力していることがわかります。今年 5 月に開催された年次開発者会議「Google I/O 2018」では、多くの発表とクールなデモンストレーションが行われました。ここに紹介する「Google Duplex」のデモでは、ヘアサロンやレストランの予約を取るために、AI が実際に電話をかけ、相槌を打ちながらごく自然に会話をする様子を見ることができます。
このような動きは、グーグルに限ったことではありません。フェイスブック、マイクロソフト、アマゾン、テスラなどの先見的な企業も、AI の可能性を押し広げています。AI は、かつてないほどシームレスに、私たちの生活と自然に結びついています。
しかし、他の多くの企業にとっては、夢のようなアイデアを価値あるものとして製品化するまでに、いかにして「キャズム(溝)」を超えるかが課題となっています。
AI 市場における「キャズム」とは?
ジェフリー・A. ムーア(Geoffrey A. Moore)氏は、ハイテク市場におけるマーケティングについての自身の著作「Crossing the Chasm」の中で、革新的な技術がキャズムを超えられるかどうかは、実践主義者であるアーリーマジョリティ(前期追随者)がその鍵を握っていると指摘しています。イノベーター(革新者)とアーリーアダプター(初期採用者)で構成される初期市場との間にある溝、すなわちキャズムを越えることが叶わずに葬られてしまうか、あるいは市場の大多数を占めるメインストリーム市場に達するかは、彼ら次第です。言い換えれば、先見の明を持つ者やイノベーターにとって良いものが、実践主義者にとっては必ずしも良いものとは限らないということです。実践主義者は、技術そのものにではなく、その技術がビジネス上の問題解決にどのように役立つのかという点に焦点を当てるため、実証済みの成熟したソリューションを求めます。
AI の導入が進むにつれて、ムーア氏の類推はかつてないほど重要になっています。企業が抱える多くの AI イニシアチブは、初期段階の初歩的な成功から進展できずに具現化に失敗するという、大きな問題に直面しています。既存の複雑なプラットフォームを活用しようとして、何ヶ月分もの工数を費やし、ハードウェアと進化するソフトウェアの統合、テスト、継続的な保守という苦痛のサイクルを繰り返します。そのため、インテリジェントな製品やサービスを市場投入する前に AI イニシアチブが失敗してしまうことがよくあります。こうした企業には、業界のリーダーがサポートする AI プラットフォームを迅速に導入できるようにするための、革新的なソリューションが必要です。それにより、企業は、AI を活用した競争優位性の強化に集中できるようになります。
AIRI の導入でキャズムを越える
ピュア・ストレージは、AI の活用に明確なビジョンを持つ Paige.AI 社のような企業と密接に協力し、さらには、NVIDIA 社の持つ実践的な経験とベストプラクティスを組み込み、AIRI™ を構築しました。AIRI は、企業が直面する現実世界の課題に対応するための、革新的なエンドツーエンドの大規模 AI インフラストラクチャです。AIRI は、前述の先駆的企業から学んだことを取り込んだ独自の機能で、AI 市場におけるキャズムを容易に越える手助けをします。GPU Cloud ディープラーニングスタック、クラウドベース管理の Pure1®、マルチノードに対応する AIRI Scaling Toolkit を含む、AIRI テクノロジスタックにより、エンタープライズクラスのサポートを提供します。
しかし、アーリーアダプターであっても、企業の AI イニシアチブの成熟段階はさまざまです。すぐに運用を開始できる AIRI の特長を活かして、早期に著しい成長を遂げる企業もあれば、予算の制約により導入の初期段階のままで停滞する企業もあります。また、AI インフラストラクチャの選択においても、ニーズにより大きな差異があります。限られたデータセットを扱うデータサイエンティストには、単一の DGX-1 サーバーが適しています。一方、膨大なビッグデータを扱う大規模なデータサイエンティストチームの学習には、スケールアウトインフラストラクチャが欠かせません。
これらの課題に対処するために、Pure//Accelerate 2018 において私たちは 2 つの画期的な発表を行いました。今や AI は、規模の大小に関わらず、全ての企業の手に届くところにあるのです。
1つ目の発表は、AIRI™ mini です。2基の NVIDIA DGX-1 サーバーと FlashBlade™ ストレージを搭載した AIRI mini は、従来型インフラストラクチャ 25 ラック分のパフォーマンスを提供します。AIRI mini は、手頃な価格の AI インフラストラクチャでありながら、将来的に AI の大規模展開を検討している組織にとっても理想的で、研究部門の成長に合わせて簡単に拡張することができます。AIRI と同じソフトウェア / ハードウェア管理を基盤に構築されているため一貫性があり、効率的でシンプルです。小規模でスタートしても、ニーズに合わせて大規模に展開できます。
もう 1 つの発表は、シスコ社とのパートナーシップの強化です。同社と共に FlashStack™ の成功をさらに拡大し、より多くのお客様が AI を利用しやすくなるように協力していきます。Pure//Accelerate 2018 では、シスコ社のネットワーキングソリューションを利用した新しい AIRI プラットフォームも発表しました。これにより、すでに同社のソリューションを利用しているお客様も、AIRI をシームレスに統合できるようになるため、既存のファブリックインフラストラクチャを活用できます。この AIRI ソリューションは、Cisco Nexus 9300 シリーズ 36 ポート 100 GE スイッチで構築されていますが、同社の他のクラウドスケールスイッチもサポートしています。
AIRI で始めましょう !
AIRI の導入は、キャズムを越えるための大きな一歩です。データサイエンティストは、インフラストラクチャの複雑さに気を取られることなく、本当に必要な作業だけに集中できるため、AI のパワーを存分に活用できるようになります。AI が支援する未来はすぐそこまで来ています。お客様の組織における AI イニシアチブの実現に、AIRI をお役立てください。
AIRI の詳細については、https://www.purestorage.com/jp/products/flashblade/ai-infrastructure.html をご参照ください。
Pure//Accelerate 2018 での発表内容については、こちらのブログ(英語)をご参照ください。
大浦からのコメント
AI 市場のキャズムについて、皆様はどのような感想を持たれたでしょうか?先日、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2018 年」がガートナー社より発表されました。このレポートでは、日本の ICT 市場における 40 の重要なキーワードが取り上げられており、その中で AI(人工知能)は、「過度な期待」のピーク期にはあるものの、幻滅期に差し掛かっていることが示されています。
AIRI の導入により、データサイエンティストは、インフラに煩わされることなく深層学習のワークロードをスケールさせることができます。ライフサイエンス分野の Paige.AI 社 * をはじめとする数々のエンタープライズ企業が、AI への取り組みの障壁となる複雑なインフラを AIRI によって取り除き、成功へのステップを踏み出しています。日本のお客様の AI への取り組みにつきましても、ピュア・ストレージにぜひご用命を賜りますよう、お願い申し上げます。お問い合わせをお待ちしております。
* Paige.AI 社は、AI と深層学習の活用を通じてガンに挑戦しています。Paige.AI 社事例に関する動画(日本語字幕付き)をご覧ください。
英語版:How to Cross the AI Chasm: From Vision to an AI-First Business