エンタープライズのアーキテクトの多くが、複数のクラウドを活用したハイブリッドアプリケーションの運用を望んでいます。しかし、クラウドは依然として分断されており、ハイブリッドなクラウド環境の構築に至っていないケースが多いのが実情です。ハイブリッドクラウド構築の鍵となるのが、オンプレおよびクラウド環境における共通データ層、データの移植容易性、管理性、データサービスです。特に共通データ層の導入は、イノベーションを促進して競争優位性をもたらし、ビジネスの俊敏性を高めることをも可能にします。
ピュア・ストレージは、シンプルで高効率、充実した自動化・オーケストレーション機能と優れた拡張性を備えたストレージを提供し、クラウドライクなエクスペリエンスをオンプレミスで実現することに注力してきました。そのことが、IaaS、SaaS、PaaS など多くのクラウド企業に選ばれるという実績につながっています。ピュア・ストレージ製品は、何千ものお客様のプライベートクラウドに導入され、イノベーションの創出や競争力の強化を支えているのです。
私たちは、この競争優位性を活かしてクラウドへと進化させました。ピュア・ストレージは、その進化をもって、パブリッククラウドにおけるイノベーションプラットフォームを必要とするお客様のニーズをサポートし続けます。先日発表した AWS のための Cloud Block Store は、クラウドストレージに革命を起こす新製品です。Cloud Block Store は、Purity ソフトウェアをオンプレミスからパブリッククラウドへと繋ぎ、お客様に効率性と競争優位性をもたらします。
AWS のための Cloud Block Store は、Purity オペレーティング環境を基盤とした堅牢なブロックストレージで、高い信頼性、効率性、パフォーマンスを提供します。Purity により、ハイブリッドクラウドのデータモビリティとクラウド保護を容易に実現します。FlashArray とパブリッククラウドで共通の API をシームレスに利用できるため、既存の自動化された運用をそのまま移行することが可能です。
Cloud Block Store は、AWS で動作するソフトウェアです。100 % ソフトウェアであるため、1 つまたは複数のインスタンスを数分で簡単にスピンアップできます。Cloud Formation テンプレートを AWS カタログに追加してプロビジョニングするだけです。AWS インフラストラクチャの最上位で実行するように最適化されており、オンプレミスの FlashArray が提供するユーザーエクスペリエンスと同様のエンタープライズデータサービスを提供します。FlashArray と同じ API を使用して、パブリッククラウドの既存の自動化およびオーケストレーションワークフローが活用可能。さらに重複排除、圧縮、シンプロビジョニングにより、容量を節約します。既存のエンタープライズアプリケーションを移行する場合でも、耐障害性のために再設計する必要はありません。事業継続性を確保するために、ActiveCluster による複数の可用性ゾーン間でのデータミラーリングも可能です。ティア 1 アプリケーションに必要な耐障害性を実現することで、既存のエンタープライズアプリケーションを再構築することなく簡単にクラウドに移行できます。ハイブリッドクラウド全体にわたる双方向のデータ移植性とデータ保護を備えており、レプリケーションによりデータを必要な場所に移動できます。また、柔軟な従量課金制により、開発および実稼働環境のニーズに最適な利用が可能です。
Cloud Block Store は、従来のエンタープライズアプリケーションと Web スケールアプリケーションの両方でクラウドストレージの利便性を高めます。Cloud Block Store 内のクラウド容量を集約し削減を行い、クラウド内の単一の EBS ボリュームに比べてパフォーマンスを向上させることができます。
従来型アプリケーションを移動する場合、AWS は複数の可用性ゾーンで保護することを推奨しています。アプリケーションを再設計する代わりに、Cloud Block Store は ActiveCluster を利用して複数の可用性ゾーンにわたってデータをミラーリングするため、確実にデータが保護されます。ActiveCluster は管理が極めて簡単で、数分で稼働させることができます。アーキテクチャの選定や設計、長時間のセットアップ作業を要する従来のアクティブ / アクティブ同期ソフトウェアとは比較になりません。
Purity のスナップショット機能により、以下のことが可能になります。
- アプリケーションをローカルおよびリモートで保護
- 実稼働環境からインスタントテストや開発環境を作成
- 実稼働用データベースから開発データベースを更新
- 開発用に何百もの同じ環境を作成
- MongoDB のようなスケールアウトデータベースで、コンピューティング能力を迅速に拡張
ピュア・ストレージのスナップショット技術が他のソリューションと異なる点をいくつかご紹介します。
- 特別な設定の必要がないこと。したがって、管理も簡単です。
- 容量効率に優れていること。容量の追加は必要とせず、既存のスナップショットとの差分のみ容量を消費します。
- ポリシーエンジンを活用して、複数のターゲット(オンプレミス、クラウド内)およびマルチボリュームのレプリケーションをサポートできること。現在、これらの機能の大部分はクラウドネイティブでは提供されておらず、オンプレミスでも提供できるベンダーはほとんどありません。
- 全てのデータが保存時に暗号化されること。特別な設定や管理は不要です。
次に、ピュア・ストレージが提供する真のハイブリッドクラウドが実際にどのように機能し、何ができるのかをご紹介します。
- ディザスタリカバリ:Purity Protect は、クラウドとの間でデータを複製するための双方向レプリケーション機能です。アプリケーションをクラウドで実行する場合は、オンプレミスにレプリケーションを戻すためのポリシーを作成できます。また、アプリケーションをオンプレミスで実行する場合は、ローカルでレプリケーションを行うことも、他の FlashArray、FlashBlade、NFS ターゲット、またはクラウドにリモートでレプリケーションを行うことも可能です。両方を同時に行うこともできます。
- 移行(クラウドへ / クラウドから):共通のデータを保持するため、双方向レプリケーションと CloudSnap を介してデータやアプリケーションをクラウド間で転送できます。
- クラウドへのバックアップ:CloudSnap は、FlashArray をアレイ、ボリューム、仮想マシンレベルでバックアップするバックアップユーティリティで、ピュア・ストレージのポータブルスナップショット技術に基づいています。メタデータをカプセル化し、あらゆるポータブルスナップショットをオンプレミスの FlashArray、またはパブリッククラウドの Cloud Block Store へのリストアを可能にします。
- 高可用性(HA)クラウド / クラウド:クラウドネイティブのアプリケーションの場合、事業継続性のために、可用性ゾーン内または可用性ゾーンを越えて ActiveCluster を活用できます。耐障害性の構築や再設計は必要ないため、既存のエンタープライズアプリケーションや Web スケールアプリケーションに対して新しいレベルの信頼性を提供し、強力で新しい活用方法をサポートします。
- データ保護・バックアップ:CloudSnap は、シンプルなビルトインのローカルおよびクラウドのデータ保護、バックアップ、データ移行を提供します。スナップショットを AWS S3 に直接移動するため、データ保持のコスト抑制が可能になります。これらのスナップショットは、オンプレミスの FlashArray または AWS の Cloud Block Store にリストアできます。ボリュームを FlashArray から AWS S3 にバックアップしたあと、容量節約のために FlashArray からそのボリュームを削除しても、必要に応じてクラウドまたはオンプレミスにリストアできます。メタデータを認識して必要な増分データのみを戻します。
Cloud Block Store は、AWS の VMware Cloud で直接使用することもできます。現時点でも、Cloud Block Store の iSCSI ボリュームは VMC 内の仮想マシンにマウントできますが、iSCSI を介したより堅牢な外部データストア接続の実現に向けて、ピュア・ストレージは VMware 社との連携を続けています。VMware Cloud を使用した革新的なソリューションについては、後日ご紹介できる見込みです。
Pure1(クラウドデータ管理およびサポートプラットフォーム)を Cloud Block Store にも拡張し、オンプレミスとパブリッククラウドの間での共通のカスタマーエクスペリエンスを実現します。AWS 内の全ての FlashArray、FlashBlade、Cloud Block Store を一元管理できます。オンプレミスで構築された既存の API とワークフローは全て、ハイブリッドクラウドの環境下でも利用できます。
まとめ
要約すると、Cloud Block Store によって以下のことが可能になります。
- ピュア・ストレージのクラウドデータインフラストラクチャと Cloud Block Store で真のハイブリッドオペレーションを実現します。また、既存のアプリケーションをパブリッククラウドに簡単に移行できます。
- アプリケーションを一度開発すれば、自身が所有するクラウドでもレンタルのクラウドでも、場所を選ばずに実行できます。
- Web スケールアプリケーションの開発者はアプリケーションロジックに集中でき、信頼性をストレージ層に任せることができます。
堀口からのコメント
シニアシステムズエンジニアの堀口です。今回ご紹介した記事は、Chadd Kenney(チャッド・ケニー)の「新登場!AWS のための Cloud Block Store」です。
Cloud Block Store により、柔軟なクラウド連携およびハイブリッドクラウド、マルチクラウド化を実現できるよう、今後もさらなる進化が計画されています。
Cloud Block Store は、現在、ベータ版リリースです。一般リリースは、今年度 2019 年を予定しております。ベータプログラムにご興味のある方は、こちらをご参照いただき直接エントリーいただくか、弊社営業までご連絡をお願いいたします。